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ネットワーク保守・運用とは?仕事内容や必要性などを解説

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ネットワーク保守・運用とは

コロナ禍がきっかけで在宅勤務(テレワーク)が加速しましたが、運用方法について頭を悩ませている企業も多いかもしれません。

 IT企業では元々独自ネットワークなどのインフラ環境を自前で揃えていた経緯があるかもしれませんが、その他の企業ではネットワーク回線や、就業環境の準備などで混乱を招いたことでしょう。

 しかし、急に準備を強いられたために予算も潤沢に確保することは難しく、さらに対応できる技術者もいない状態で何をどうしてよいのか混乱している企業も多く見られました。

 ネットワークにおいて大切なのは安定した環境を維持するための保守と運用なのですが、その違いに関してもわからない方がネットワーク担当というケースが多いようです。

 情シス部門が存在している中小企業は少なく、外注(アウトソース)するにしても会社で窓口となる方が全くの素人というケースもあります。
 そこで今回は、ネットワークを担当することになった際、知っておくべき仕事内容などについてご紹介いたします。

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ネットワーク保守と運用の必要性とは

 テレワークによって遠隔地とのWeb会議や業務で使用するデータの送受信などを頻繁に行う必要が出てきている現代ですが、企業によってはZoomやMicrosoft TeamsなどのWebミーティング専用アプリを使用しているのみの会社だったり、在宅勤務で使用するパソコンは今までも使用していたパソコンであるケースも多く、ネットワーク環境の変化に伴った準備が整っているとは言えない状況です。

 しかし、ネットワークが不安定になってしまうとリモート会議も円滑に行えませんし、恐ろしいのはウイルス対策(セキュリティ対策)を行わなければ会社にとって多大な被害を被ってしまう可能性もあります。

これまでは、自宅と会社間やクラウド間のネットワーク経路は頻繁に使用されることはありませんでしたが、テレワークとなった場合は、常に外部ネットワークに晒されることになり、対策されていないとリスクが増大します。またトラフィック(通信量)も増えますので、ネットワークの負荷により障害が起こるリスクもあります。

 安全、円滑に業務を進めるためには、ネットワークの運用と保守はとても大切なことなのです。

ネットワーク保守とは?

 保守という言葉を辞書で調べると、「正常な状態を保ち、それが損じないこと」とあります。
 これをネットワークに当てはめると、正常な状態が損なわれないようにすることが保守の仕事と言えます。
 ネットワークが繋がらなかったり、負荷が上がり遅延が出たりしない状態にするための対策を行うことがネットワーク保守です。

 自宅(家庭内)ではあまり意識せずともネットワークを使用していますが、企業内にあるネットワークシステムは保守が必要になります。

 ネットワーク機器を見ると、さまざまな役割を担っているサーバやその他通信機器がありますので、定期アップデートや機器の交換は必須事項となります。

 保守業務の多くは運営日以外のメンテナンス日に行う必要が発生します。
 なぜなら、作業中はネットワークが切断してしまうため、通常業務中に行うとプロジェクトに支障が出てしまうので、営業日以外に保守を行う必要があるのです。

ネットワーク運用とは?

 運用とは、ものをうまく働かせ使うことという意味があります。この意味だけ聞くと、保守と混同してしまうのも無理はありません。

 しかし、ネットワークにおいて運用を考えた際には日常で発生する業務の多くが運用にあたります。
 常にトラブルのないように対策を行っていても、日常のトラブルを避けることは難しいです。
 ネットワークの遅延が突然発生した際には原因を探り、その対策を行わなければなりません。

 最も多いのはユーザーが使用しているLANケーブルの断線や爪折れなどがありますが、そういったトラブルに対する対応も運用に含まれます。

 障害が起こった際に対応する仕事が運用と言っても良いでしょう。

ネットワーク保守と運用は異なる業務

ネットワーク保守と運用は異なる業務

 保守と運用はセットで使用されることが多くあるので、2つの業務を同じと考えてしまう方もいらっしゃいます。
 しかし、保守と運用を同じと考えてしまっては業務分担も難しくなり、何をやっていいかわからなくなってしまうので、これら二つを分けて考えることは大切です。

 また、ネットワークの知識をつける際にも実作業を意識しながら学ぶとより効率的に覚えられますが、そこでも保守と運用を分けて考えると知識の整理ができます。

 運用・保守のどちらが欠けても安定したネットワークを構築することはできませんし、ネットワーク関連の仕事と一括りに考えると運用と保守はセットにされてしまいがちです。

 しかし、ネットワークトラブルなどが発生したら通信できる状態に復旧することが運用であり、トラブルを未然に防いだりより安定した通信を実現させるために必要なことが保守だと考えることによって、信頼できるネットワークが構築できるのです。

ネットワーク保守・運用をするネットワークエンジニア

 ネットワークの保守・運用に関わる方々のことをネットワークエンジニアと呼びます。
 ネットワークの保守・運用を行うために必要なスキルは、ネットワークの構築やネットワーク機器の操作、さらにはサーバの設定などを行う必要があります。

 経済産業省のネットワーク関連の資格には、ネットワークスペシャリストという資格があり、内容はネットワークの知識のみに止まらず、ネットワークの保守・運用に必要なセキュリティに関しても出題されています。

 また、ベンダ資格においてはネットワーク関連の最大手であるCISCOが主催するCCNAに関しては、ネットワークの知識に加えて実際にネットワーク機器の設定ができるスキルも必要な試験です。

 企業の中にネットワークエンジニアがおらず、他の業務と兼任しているケースも多く見られますが、ネットワークエンジニアのスキルは独自の知識も必要となるため、その人材を確保するために苦労している企業も少なくありません。

ネットワークエンジニアの保守・運用業務とは

 それではネットワークエンジニアの仕事について具体的にご紹介していきます。
 細かく見ると現場によって様々な業務がありますが、基本的な部分を押さえていればどの現場に行っても活躍できます。
 もし突然「ネットワークの管理をよろしく」と言われた場合も、他の企業ではどのような業務を行っているかが分かれば、自分が何をすべきかが見えてきます。

ネットワーク保守の仕事内容

 ネットワークの保守作業で一番初めに覚えておかなければならないのがサーバ管理です。
 サーバと言えば、たくさんのデータを保存しておく機器と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、ネットワークにおいてもサーバは重要な存在です。

 直接関わりのあるサーバはDNSサーバやDHCPサーバなどがあり、これらのサーバがダウンしてしまうとネットワークが機能しなくなります。

 また、現在使用されているサーバのほとんどが仮想サーバで運用されていることから、仮想空間のメンテナンスも行わなければなりません。

 これらの機器の定期アップデート作業は必須の作業となります。
 これ以外にもサーバラックの電源を安定させるためのUDPの管理や機器が老朽化により壊れないように定期的に入れ替えたりと、ハードウェア関連の作業も多く発生します。

 そのため、椅子に座りっぱなしの作業だけではなく実際にサーバルームで機器を交換するなどの肉体労働も伴うのがネットワークエンジニアの保守作業です。

ネットワーク運用の仕事内容

 ネットワーク運用においてはトラブル対応がその多くを占めます。
 ユーザーがネットに繋がらなくなった、システムの認証が通らなくなったなどのトラブルに対して解決していくことがほとんどの業務となります。
 その他にも、機器の設定を変更してほしいという依頼もあります。
 企業には多くの顧客が使用している独自ネットワークが引かれていますが、限られた席にしか配線されていません。
 しかし、その回線を使って会議室で打ち合わせということもありますので、その際には会議室に独自ネットワークの配線を引くなどの設定変更が必要となります。

→インターネットが突然繋がらない時どうするかについての詳細は「テレワーク中にパソコンがインターネットに接続できない!原因と対処方法のポイントとは?」の記事で紹介しています。

→VPNや社内ネットワークに接続できないトラブルをどうすればいいのかについての詳細は「VPNや社内ネットワークに接続できない!トラブルの原因と対処法を解説」の記事で紹介しています。

ネットワーク監視の仕事内容

 ネットワークの大きなトラブルを防止するためには日々の監視が必要です。
 ネットワーク機器の監視に関しては、多く使用されているのがZABBIXというシステムです。
 一定時間ごとにpingと呼ばれるICMPプロトコルをネットワーク機器やサーバに送り、通信に問題がないかを監視しています。

 pingが通らなくなった時と復旧した時にアラートメールが届きますが、その様子を見ることで大きなトラブルを回避することができます。

 また、ネットワークにおいてセキュリティの監視も重要となります。
 ファイアウォールでブロックされている通信や迷惑メールなどを分析し、ブロックするという業務もネットワークエンジニアには必要な業務となります。
 監視するために多くのソフトウェアがありますので、うまく活用しながら監視を行うこととなります。

ネットワーク保守・運用に必要なスキル

 ネットワークを運用・保守するために必ず必要となるのは通信の仕組みについての知識です。
 普段はどのような通信が通っているのかを気にせずインターネットを使用していますが、実はパケットという情報が流れており、パケットの情報もユーザーには見えない情報が多くあります。

 そのため、どんな仕組みでインターネットが成立しているかという知識が必ず必要になるのです。
 最近ではAWSやAzureなどのクラウドサービスを利用してネットワークを構成する技術も波及してきていますので、ただネットワークの知識と言っても広範囲となります。

 機器の設定方法などは現場によって様々な仕様やネットワーク構成がありますので、基礎となる力を駆使して現場環境に慣れる必要があります。
 そもそもネットワークエンジニア自体が少ないため、専門外の方がネットワークの運用・保守を行うこともありますが、根幹にあるネットワークの知識はつけておかなければ誤った設定を行なって甚大な被害を被ってしまうことがあります。
 そのため、ネットワークエンジニアがネットワークを管理するということは会社を守るためと言っても過言ではありません。

テレワーク導入によってネットワークエンジニアの重要性が増している

 自粛期間を経て、各企業がテレワークを導入し始めたのは記憶に新しいところです。
 このことにより、今まで以上に通信の需要が増えたことは言うまでもありません。

 今まではネットワークを意識せずとも使用できていた職場だったかもしれませんが、従業員が一斉に自宅から職場へインターネットを接続することにより、回線が切断してしまったケースも見受けられます。

 そのため、大規模な改修が行われてネットワークサーバを新たに設置した企業も多くありましたが、肝心の運用・保守を行うエンジニアがいないという問題が発生しているのです。

 近年ネットワークエンジニアを探すことに苦労している企業がほとんどであり、テレワークを推奨したくても対応できないという課題を抱えているのです。

ネットワークエンジニアの採用はかなり難しい

 日本全体で人材不足、さらにはIT業界でのエンジニア不足はよく耳にすることかもしれませんが、これらの中でもネットワークエンジニアを採用することはかなり難しいことです。

 エンジニアの中で人気があるのはフロントサイドと呼ばれる、Webアプリケーションやホームページなどを作成するエンジニアです。

 つまり、サーバやネットワークを管理するバックサイドエンジニア(インフラエンジニア)は絶対的な人数が今までも不足しているのです。
 しかし、テレワーク導入やクラウドの普及によりネットワークエンジニアの需要は急激に高まっており、少ないエンジニアを各企業が取り合っているのが現状です。

未経験者にCCNAを取得するための勉強をサポートし、取得後にインフラエンジニアとして転職を支援するというスクールも増えていますが、人材不足であることの証明となっているような状況です。

 クラウドの普及によって注目されたことにより、インフラ関連のエンジニアは増加しました。しかし、それ以上にエンジニアが必要となっているのが現状なのです。

参考:CISCO「CCNA認定」

ネットワーク保守・運用はアウトソースできる?

 現在各業界で注目を集めているアウトソーシングですが、ネットワーク保守・運用も例外ではありません。

 実際にネットワークの保守・運用のアウトソースを行なっている企業も多く、アウトソースできる環境構築を行うことによって常駐の社員がいない状態でもアウトソースすることは可能です。

 ネットワークの知識がない社員にネットワーク業務を任せたり、全く見つからないネットワークエンジニアをいつまでも探したりしているのであれば、アウトソースする方がおすすめです。

 ネットワークは今や業務の根幹(インフラ)と言っても過言ではなく、遅延やトラブルなどにより被害が出てしまうことになります。

 信用を第一に考えるのであれば、ネットワーク保守・運用をアウトソースも検討してみましょう。

IT業務のアウトソーシングについての詳細は「情シスのITアウトソーシングはメリットも多いが選定が重要!注意点やポイントを解説」の記事で紹介しています。

まとめ

 人の生活や仕事においてパソコンやスマホがなくてはならないものと同じで、ネットワークが会社にとって生命線になってきているのが世の中の動きではありますので、その保守・運用を行う人間はそれなりのプロフェッショナルが求められます。

 しかし、ネットワークエンジニアを探すと言ってもなかなか見つからずに困惑してしまう方も多いと思います。

 もしこれから独自にネットワーク環境を構築したり、今よりも安定した通信を実現したいとお考えてあれば、アウトソースすることも検討してみるのも良いかもしれません。

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