
働き方の多様化やテレワークの普及に伴い、従来のオンプレミス型ファイルサーバーから、クラウド型のファイルサーバへの移行を検討する企業が増えています。
クラウド化により、社内外からのファイル共有やアクセスが可能になり、業務効率や柔軟性の向上が期待できます。
しかし、セキュリティリスクやコスト面の課題もあるため、慎重な検討が必要です。
本記事では、クラウドストレージの特徴やメリット・デメリット、クラウドサービスの選び方、移行のポイントについて詳しく解説します。
Contents
クラウド型のファイルサーバーとは?
クラウド型のファイルサーバーとは、クラウド上でファイルを保存・管理し、インターネット経由で社内外とファイル共有が可能なサービスです。
従来のオンプレミス型と異なり、場所を選ばずにファイルへアクセスできるため、リモートワークやテレワークが進む現代の働き方に非常にマッチしています。
DropboxやBox、OneDriveなどのクラウドストレージサービスがこれに該当し、ストレージ容量の柔軟な拡張やアクセス権限の細かな設定が可能で、情報共有を効率化できます。
ファイルサーバーをクラウド化するとは?
クラウド化とは、自社でサーバーを設置・管理するのではなく、クラウドサービスを活用してファイル管理をオンライン化することを指します。
クラウド環境でのファイル運用は、VPNやSSL暗号化などのセキュリティ対策も整っており、社内外のどこからでもアクセスが可能です。
これにより、社員や取引先と安全かつスムーズにファイル共有が実現でき、業務のスピードと柔軟性が向上します。
サポート体制が充実した法人向けのプランも多く、導入・移行も容易です。
従来(オンプレミス)型ファイルサーバーとの違い
オンプレミス型のファイルサーバーは、社内にサーバー機器を設置し、社内ネットワーク経由でファイルにアクセスしていました。
これには設置スペースや電源・冷却環境の確保、保守・メンテナンスなどの負担が伴います。
一方、クラウド型ではサービス提供会社がインフラを運用しており、利用者はオンラインストレージ上にアクセスするだけで済みます。
インターネット環境さえあれば、外出先からでもファイル操作が可能で、アクセス制限やユーザー管理などもWeb上で簡単に行えます。
ファイルサーバーをクラウド化するメリット
近年、企業の情報管理体制が見直される中で、ファイルサーバーのクラウド化が注目されています。
オンプレミス型のサーバーと比べて多くのメリットがあり、テレワーク対応や災害対策、管理コストの削減といった観点からも、クラウドストレージの導入が進んでいます。
サーバー管理の負担を軽減できる
クラウド型ファイルサーバーを導入することで、自社でハードウェアを保守・管理する必要がなくなります。
ストレージ容量の拡張やシステムのカスタマイズも柔軟に対応可能で、スムーズに運用できます。
オンプレミス型では、定期的なOSアップデートやバックアップ対応、機器の老朽化対策といった作業が発生しますが、クラウド環境ではこれらの手間をサービス事業者が担ってくれるため、IT部門の負担が大幅に軽減されます。
災害時のバックアップができる
クラウドサービスでは、ファイルが堅牢なセキュリティ対策を施したデータセンターで管理されています。そのため、地震や火災などの災害が発生した場合でも、重要なデータの消失リスクを大幅に抑えることができます。BCP(事業継続計画)の観点でも、クラウドストレージの導入は非常に有効です。多くのクラウドサービスでは自動バックアップ機能やデータ復旧機能が標準で提供されており、万が一の際にも安心して業務を継続できます。
テレワーク時でも使用できる
従来の社内ファイルサーバーでは、テレワーク中にファイルへアクセスするにはVPN接続が必要でした。しかし、クラウド化することでインターネット経由でどこからでもアクセスできるようになり、柔軟な働き方が実現します。ファイル共有や共同編集、アクセス権の管理といった機能も充実しており、リモートワークに最適な環境を構築できます。通信環境さえ整っていれば、自宅や出先からでも安全に業務ファイルへアクセス可能です。
ファイルサーバーをクラウド化するデメリット
企業がファイルサーバーをクラウド化することで、柔軟なファイル共有やリモートワークへの対応といったメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
導入前にはこれらの課題を理解し、自社にとって最適な運用方法を検討することが重要です。
インターネットネット回線への依存
クラウドストレージサービスを利用するには、安定したインターネット環境が必須です。
特に大容量ファイルのアップロードやダウンロードが頻繁な場合、ネットワークの帯域不足が業務に支障をきたす恐れがあります。
自宅や外出先など社外からのアクセスが増える現代では、回線速度や通信品質の確認も不可欠なポイントです。
外部環境のためのセキュリティ対策が必要
クラウド環境にファイルを保管する以上、オンプレミス型サーバーとは異なるセキュリティリスクが発生します。
万が一、アクセス制限の設定が不十分であれば、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。
クラウドサービス提供者が用意するセキュリティ機能に加えて、自社でもVPNや多要素認証、アクセスログの管理など、独自のセキュリティ対策を講じる必要があります。
社内サーバよりもコストがかかる場合がある
クラウド型のファイルサーバーは、初期費用が抑えられる反面、月額料金が継続して発生します。
ストレージ容量やユーザー数に応じて料金が変動する従量課金制のプランも多く、長期間運用する場合には、オンプレミス型よりもコストが高くなる可能性もあります。
特に、利用状況や業務の拡大により想定外のコストが発生するケースもあるため、料金プランの選定と定期的な見直しが必要です。
ファイルサーバーをクラウド化する際の選び方
クラウド型のファイル共有サービスを利用することで、社内外を問わずスムーズな情報共有が実現でき、業務効率の向上にもつながります。ここでは、クラウドストレージサービスを選ぶ際のポイントを解説します。
ストレージ容量/追加容量
クラウドストレージのプランは、ベンダーごとにストレージ容量が異なります。
1TBや無制限といったプランも存在しますが、企業の利用状況に応じて最適な容量を選択することが重要です。
必要以上に大容量を契約するとコストがかかりすぎますし、逆に容量不足では運用に支障をきたします。
将来的な容量追加が可能かどうか、柔軟性も確認しておきましょう。
費用(初期・月額)
クラウドサービスは、初期費用が無料または低額で始められるものが多い一方、月額費用はユーザー数やデータ容量に応じた従量課金制のものもあります。
ユーザーごとに料金が発生する法人向けプランもあるため、想定される利用人数や用途を把握した上でコストパフォーマンスを比較検討することが重要です。
機能
クラウドファイルサーバーの主な機能には、アクセス権限の設定、ファイル共有、バージョン管理、共同編集などがあります。
アクセス権の細かい設定が可能か、特定のフォルダだけを外部と共有できるかなど、業務フローに合った機能を持つサービスを選びましょう。
エクスプローラーやFinderとの連携により操作性が高まるものもおすすめです。
セキュリティ
クラウド環境でのセキュリティ対策は不可欠です。
多要素認証、アクセス制限、データのAES暗号化、通信のSSL/TLS対応など、セキュリティ機能が充実しているサービスを選ぶと安心です。
また、アクセスログの取得やウイルスチェック機能が備わっていると、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。
自社のセキュリティポリシーに準拠しているかどうかも確認しましょう。
サポート体制
クラウドサービスの導入時には、初期設定や移行作業で不明点が出ることがあります。
365日対応のサポート体制が整っているか、日本語での問い合わせが可能か、トラブル発生時の対応速度などを事前にチェックしましょう。
法人向けに専用のサポート窓口を設けているサービスは、導入後も安心して運用できます。
データ移行
既存のオンプレミス型ファイルサーバーからクラウドストレージへの移行は、大きなハードルのひとつです。
ベンダーによっては、データ移行用の無料ツールや手厚いサポートを提供している場合があります。
自社のデータ量やファイル構造に合わせて、スムーズに移行できる体制が整っているサービスを選ぶことが成功の鍵です。
ファイルサーバーをクラウド化する際の移行方法
ファイルサーバをクラウド化するには、自社で移行する場合とベンダーへ依頼する場合が考えられます。
それぞれのメリットや注意点について確認してみましょう。
自社でクラウドに移行する
ファイルサーバーをクラウド化する際、自社で移行作業を行う方法があります。
特に社内にITスキルを持つ人材がいて、十分な導入期間を確保できる場合は、オンプレミス型のファイルサーバーからクラウド型のクラウドストレージへスムーズに移行できる可能性があります。
現在では様々なクラウドストレージサービスが、無料で利用可能な移行ツールや詳細なマニュアルを提供しています。
これにより、データ移行の手間を軽減し、クラウド化を容易に進めることができます。また、アクセス権の設定やセキュリティ対策もクラウド上で柔軟に行えるため、社内外とのファイル共有にも適しています。
クラウドへの移行をベンダーへ委託する
一方で、自社のリソースや時間に余裕がない場合は、クラウドサービスのベンダーに移行作業を委託する選択肢もあります。
多くのベンダーは、法人向けにクラウド移行をサポートする体制を整えており、データの保管や移行中のセキュリティ面にも配慮したサービスを提供しています。
特に、重要な業務データや機密情報を取り扱う場合には、移行先のクラウドストレージサービスがどのようなセキュリティ機能やバックアップ体制を備えているかを事前に確認し、信頼性の高いベンダーを選ぶことが重要です。
ファイルサーバーのクラウド化を成功させるために
ファイルサーバーのクラウド化は、業務効率の向上やテレワーク対応の柔軟性、そして災害時のBCP対策など、多くのメリットをもたらします。
クラウドストレージを導入することで、社内外からのセキュアなアクセスが可能となり、ファイル共有やデータ管理が格段に効率化されます。また、クラウドサービスには、バージョン管理機能や自動バックアップ、アクセス制限の設定など、オンプレミス型にはない高度な機能が豊富に用意されています。
一方で、クラウド化には月額料金の発生や、セキュリティリスク、移行時の手間などのデメリットも存在します。
そのため、自社の目的や利用方法、ストレージ容量のニーズを明確にし、クラウド環境に適したサービスを選定する必要があります。
必要であれば、ITベンダーなどの専門家の助言を得ながら、導入・運用の最適化を図ることが重要です。
ITボランチでは、ファイルサーバーのクラウド化など検討中またはこれから検討したいというようなご要望もご相談いただけます。
初回はご相談無料でご利用できますので、お気軽にご相談ください。