近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)化やAI、ICT、ビッグデータ活用により、業務効率化や働き方改革に成功した企業は数多く存在します。
しかし、反対にIT技術を使いこなせず、機密情報漏洩やウイルス感染被害に遭う企業も少なくありません。JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)の「インシデント損害額調査レポート 2021年版」によると、セキュリティ事故による損害費用は数百万円程度から大規模な場合は3億円を超える損害が出たケースもあります。
これらの被害は社員のITリテラシーの欠如が起因する場合が多く、企業によるITリテラシー教育は必須です。
参考:JNSA「インシデント損害額調査レポート 2021年版」
今回は、社員のITリテラシーを高める必要性やITリテラシーが低い人の特徴、改善方法を紹介します。
□■□■IT業務のお悩みやお困りごと、コスト削減をお考えなら、解決手段があるはず!まずはITボランチへご相談(無料)ください。お問い合わせはこちらから□■□■
Contents
ITリテラシーとは
ITリテラシーとは、情報技術を適切に理解し、利用する能力を指します。
IPA(情報処理推進機構)ではITリテラシーを下記のように定義しています。
“ITリテラシースタンダード(ITLS)は、将来の成長や競争力強化に向けたビジネスの改善・刷新と効果的なIT活用・投資を進めるための、主に事業部門やスタッフ部門などで勤務するビジネスパーソン(非IT技術者)に求められるIT知識や技能、情報活用能力とその領域を示すものです。”
現代社会では、書類の電子化や新型コロナウイルス対応によるテレワークなど、非IT技術者もITスキルが必要です。
ITリテラシーとは具体的にどのような知識やスキルが必要なのでしょうか。
ITリテラシーを構成する4つ要素
ITリテラシーは、4つの要素から構成されています。
情報基礎リテラシー
情報基礎リテラシーとは、情報を正しく活用するスキルです。
インターネット上の膨大な情報から、自分に必要な情報を「選択」、「精査」、「利用する」スキルが必要です。
近年、OpenAIや第3者の利益のために作られた詐欺やフェイクニュースから、不確かな情報が蔓延しています。
その中から、信憑性の高い情報を取捨選択できる能力が重要です。
コンピュータリテラシー
コンピュータリテラシーは、コンピュータを操作する技術・知識を指します。
昨今の業務でコンピュータを使用しない業務はほぼありません。
パソコン操作、Office(ExcelやWord、PowerPoint)やZoomの操作はビジネスパーソンとして当たり前に持っているスキルとなっています。
ネットワークリテラシー
ネットワークリテラシーとは、社内外のネットワークに関するスキルです。
例えば、企業内の社内ネットワーク(LAN)や社外ネットワーク(WAN)が挙げられます。
また、テレワークでは自宅にいながら会社のネットワークにセキュアな状態で接続するVPNを利用している人もいることでしょう。
ネットワークを理解することでセキュリティやプライバシーを守ることが可能です。
インターネットリテラシー
インターネットリテラシーは、Webサイトや電子メールなどインターネット全般のスキルです。
送信元不明のメールは開かない、添付ファイルをダウンロードしないなどが挙げられます。
ITリテラシーを高めるメリット
ここまでは、ITリテラシーの要素について紹介しました。
次に、ITリテラシーを高めるメリットを解説します。
業務効率の向上、生産性の向上
ITリテラシーの向上により、業務フローや仕組みの効率化、生産性向上が可能です。
例えば、ITリテラシーの高い人は、チャットツールやSNSを活用して迅速に情報収集を行い、キーボードのショートカットキーやWebブラウザのブックマークを使って効率的に業務を進めています。
セキュリティの強化、促進、問題発生の防止
ITリテラシーの高い人はセキュリティに関する知識や意識が高く、日々の業務でも実施して良い行動か、いけない行動かという善悪の判断がつきます。
また、ITリテラシーが高い従業員がいるだけで、部署内でセキュリティに関する重要性が周知・認識され、会社のセキュリティ強化、促進、問題発生の防止に繋がります。
社内ヘルプデスクの負荷軽減
ITリテラシーを高めることで社内のヘルプデスクの負荷軽減にもつながります。
ヘルプデスクの経験者であれば、問題社内からの問い合わせに「こんな事も分からないの?」、「資料に書いているけど読んでないの?」と感じた経験があるはずです。
ITリテラシーが高い人は、情報基礎リテラシーにより自ら問題解決できる能力があるため、社内ヘルプデスクの問い合わせが減り、負荷軽減となります。
社内ヘルプデスクの効率化は「社内問い合わせを効率化するには?よくある課題と効率化の方法5選を紹介」の記事でも紹介しています。
業務のデジタル化、IT化やDXの推進
ITリテラシーのスキルを身に着けた従業員が複数人いると、業務のデジタル化、IT化やDX化の推進に大きな影響を与えます。
デジタル化やDX化は全社横断的に取り組む必要があり、一個人の力では実現できません。ITリテラシーを持った人材を各部門に配置し、その人たちが主導となって動かすことで、大きなイノベーションが起こります。
ITリテラシーが低い人の特徴
ITリテラシーが低い場合、情報漏洩やセキュリティ事故に繋がる恐れがあります。
ITリテラシーが低い人はどのような特徴があるのでしょうか。
検索エンジンで調べない
ITリテラシーが低い人は、問題や課題に直面した場合にGoogleなどの検索エンジンで調べずに、人に聞くか問題を放置してしまう場合があります。
これにより、社員自身が成長せず、他の従業員にも迷惑をかけるなど、負のスパイラルに陥ってしまいます。
デジタルデバイスやシステムに触れたがらない
ITリテラシーが低い人は、デジタルデバイスやシステムに対して消極的になりがちです。
これは食わず嫌いのようなもので、触ってみれば難しいシステムではないのですが、システムに触れる第一歩が踏み出せません。
これらは、年配の社員や業務過多のために時間が取れない社員に多い傾向があります。
インターネットのリスクを考えられない
ITリテラシーが低い社員は、インターネットの危険性やリスクを考えられていません。
インターネットはワンクリックでウイルス感染や情報漏洩するリスクが潜んでいるため、インターネットのリスクについて十分な理解が必要です。
ITリテラシ―を高める4つの方法
企業ができるITリテラシーを向上させる施策は、どのようなものがあるのでしょうか。
ITリテラシーを高めるために必要な4つの方法を紹介します。
1.IT環境の整備・ツール利用
企業として、IT環境の整備・ツール利用を促進しましょう。
ITツールを身近なものとして扱うことで、ITリテラシーの向上が見込まれます。
ただし、会社の規則やルールにより、インストールが制限される場合や利用申告が必要な場合があるため注意しましょう。
2.資格取得の励行・支援
ITリテラシーの高い従業員を育てるためには、関連する資格取得を励行・支援が効果的です。
受験料の会社負担や、資格合格手当を与えることで、従業員のITリテラシーやモチベーション向上が期待できます。
ITリテラシー向上に役立つ資格は下記が挙げられます。
ITパスポート
ITパスポート試験はIPAが運営する、ITに関する基礎的な知識を証明できる国家試験です。上位試験に基本情報技術者試験などがあります。
ITILファンデーション
ITILファンデーションはITサービスマネジメントおよびITILに関する基礎知識を保有していることを証明する、世界共通の認定資格です。
3.社外研修の受講
ITリテラシー向上のため、社外研修を受講させる機会を与えましょう。
最新の技術やトレンドを学ぶことで、自身のスキルをアップデートできます。
また、社外の人と交流することにより、従業員のモチベーション向上が期待できます。
4.社内勉強会の開催
組織内での知識共有を目的とした社内勉強会を定期的に開催しましょう。
ITリテラシー向上に役立つトピックや事例を共有することで、組織のITリテラシー向上が見込めます。
中小企業はITリテラシーの高い人材が不足しやすい
ここまで、ITリテラシーについての特徴やメリットを紹介してきました。
しかし、中小企業の中には、ITリテラシー人材の不足に悩んでいる会社も多いはずです。
ITリテラシー人材が不足する原因は、一般的に下記が考えられます。
- ITリテラシーの高い人材が給与や福利厚生の充実している大企業に流れている
- 上層部のITへの理解度が浅く、ITに関する投資が不足している
- ITツールの導入に掛ける人・工数がない
以上を理由に、中小企業ではITリテラシーの高い人材の確保や、育成・教育が難しくなっています。
しかし、これらの課題は簡単には解決できません。
企業成長のためにも、一社員として社内のITリテラシーを上げるには、どのように行動すればよいのでしょうか。
ITツールの利用や活用方法にお悩みなら、ITボランチに相談
これまで紹介した通り、ITリテラシーの向上には、まずは社内のIT利用を増やすことが重要です。そこでおすすめするのが、クラウドサービスの導入を検討してはいかがでしょうか。
クラウドサービスは、最新のIT技術で企業のコスト削減やセキュリティ向上をさせると同時に、社員のITリテラシー向上が可能です。
しかし、クラウドサービスを扱うスキルは一朝一夕で習得できません。
ITボランチは、中小企業向けにクラウドサービスの導入支援をしており、適切なサービス選定から導入、導入後のサポートまで支援をして参ります。
社内業務のクラウド化とITリテラシー向上を同時に実現したいご担当者様は、ぜひ一度、ITボランチへご相談ください。