新型コロナウィルスが落ち着きつつある昨今、多くの企業はテレワークからオフィス勤務に戻ってきています。しかし在宅勤務等を継続している企業も多く、テレワークがなくなることはなさそうです。
テレワークを導入することで大きな問題として浮かび上がるのは、電話でのコミュニケーションになっています。日本企業は電話でのコミュニケーションを、完全にWeb会議ツールやチャットツールに変更できずにいます。
そこで注目されているのがクラウドPBXです。大きなコストをかけることなく導入できることもあって導入する企業が増えています。しかしクラウドPBXを知らない企業も多く、まだまだ知名度が低いのが現状です。
この記事ではクラウドPBXの解説や、導入メリットをお伝えしていきます。
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テレワーク・ハイブリッドワークでも無くせない電話
テレワークはコロナウイルス感染が拡大し、緊急事態宣言等が出されて大きな問題となった2020年に大きく普及しました。それ以降もコロナ禍が収束することはなく、依然としてテレワークは重要な働き方となっています。
同時にオフィスワークが感染拡大初期よりしやすくなった現状を踏まえ、テレワークと組み合わせてバランスを取る「ハイブリッドワーク※1」を行う企業も増えてきています。テレワークおよびハイブリッドワークは
- 事業継続性の確保がしやすい
- いつでも作業ができる
- 遠隔地にいる従業員でも仕事に参加できる
- 業務コストを総合的に削減できる
といったメリットがあり、コロナ禍終息後も完全に消滅することはまず考えられません。今後DXを行う際にも必ずカギになってくる働き方です。
ただし日本企業の場合、テレワーク・ハイブリッドワークを行う際に電話が障害として立ちふさがってきます。電話でのやり取りは日本企業で長く使われてきた方法であり、安全性等の観点から人気があります。特にコールセンターなどではいまだに電話機器は必要です。
こういった状況で、ビジネスに関するインターネットツールへ直接電話を置換するのは簡単ではありません。抵抗を持つ方も多くいらっしゃいます。
また日本企業では社内で電話機同士を接続したり、取次を簡単にしたりする「ビジネスフォン」を導入しているケースが多いですが、このビジネスフォンは外部で使えません。社内にシステムの基盤を置くので管理者が社内にいる必要がありますし、外部には回線が張られていないので機能を利用不可能なのです。
ですから今必要とされているのは、「電話と同じように操作ができる、外部でも使える通信システム」です。
※1:ハイブリッドワークについては下記の記事をご参考ください。
クラウドPBXとは
クラウドPBXは先ほどお伝えした「電話と同じように操作ができる、外部でも使える通信システム」というニーズをかなえてくれるシステムです。具体的にはビジネスフォンの基盤となる「PBX」を、クラウド環境に設置して連絡を行うツールとなっています。
クラウドPBXと接続できる機器は、
- PC
- スマートフォン
- 固定電話機
といった電話機だけではなく、インターネットへ接続できるあらゆる電話通信機器すべてです。内部だけでなく外部からも普通に利用できるので、利便性は固定電話機でしか基本利用できないビジネスフォンより明らかに上です。
クラウドPBXはインターネットの外部環境へ拠点を置いて通信を行うので、通信傍受といったリスクを考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし今ではセキュリティ性を確保したシステムが増えており、以前より安全に利用できるので気軽に利用できます。
何よりDXを推進するためには、既存の電話環境をインターネットツールで再現したクラウドPBXの利用が必要です。現に複数のコールセンターでクラウドPBXが活用されており、テレワークの推進やDX化に役立てられています。大企業での導入実績も増えており、今のうちに導入検討を進めないとビジネスで乗り遅れるリスクもあるでしょう。
クラウドPBXのメリット・デメリット
クラウドPBXには次のようなメリット・デメリットがあります。
クラウドPBXのメリット
クラウドPBXのメリットは次の通りです。
- テレワーク・ハイブリッドワーク導入の際役立つ
- 導入期間が短い
- 通信・インターネット接続機能があればどの端末でも使える
- クラウド環境で利用状況を可視化できる
- 拠点をまとめてPBXでつなげることができる
- 設定・オプションでさらに機能を調整できる
テレワーク・ハイブリッドワークを利用する上で、既存のビジネスフォンを簡単に置換できるクラウドPBXは役立ちます。従来の通話環境をインターネット化して作業効率化・コスト削減などを実現してみてください。
またクラウドPBXはクラウド環境を借りて利用するので、1から用意する必要がある既存のビジネスフォンよりも導入までの期間が短いです。ですから将来的に拠点を移動する可能性がある、といったケースでも気軽に導入できます。また人員増加といった変更があってもID数の変更などですぐ対応可能です。
通信およびインターネット接続機能があるデバイスならばどれでも利用できる点もメリットです。PCで在宅の電話を取る、外出中はスマートフォンで転送された電話を行う、といった操作も可能になっています。働き方に合った電話の発着信が可能です。
利用状況の可視化も簡単です。たとえば管理画面では、電話数・コンバージョン数等を可視化して表示できます。蓄積されたデータはナレッジとして共有、あるいは分析して人員配置などへ活用できるのがメリットです。
さらに複数の拠点をまとめてPBXでつなげることができるのもポイントです。従来だと大阪・東京といった拠点ごとにPBX環境を構築していたので、拠点をまたいだ連絡はコストが発生していました。これがPBXでつなげられるので、大阪・東京といった拠点ごとの通信でもコストがなくなって費用削減が実現可能です。海外拠点ともつなげられるので便利です。
設定・オプションの利用も重要です。設定では
- 着信可能時間を固定する
- 発着信を制限する
- 営業時間外の自動応答メッセージの設定
といった内容を電話番号、あるいはチームごとといったグループレベルで設定可能になっています。こういった設定を活用して無駄のない通話を行えるとより利用メリットが増えます。設定はブラウザーから簡単にできるので、一度触って基本操作を覚えるとよいでしょう。
またオプションではクラウドPBXの機能を増やせるのがポイントです。別途費用が発生しますが、不足している機能を補いながら事業成長にも対応できるので便利です。
クラウドPBXのデメリット
クラウドPBXのデメリットは次の通りです。
- 緊急発信が使えないケースがある
- 音質が悪くなる可能性がある
- 既存の電話番号が引き継げないリスクがある
IP回線タイプのクラウドPBXでは、110番といった緊急発信ができないケースがあります。光回線タイプだと問題なく利用できるので、気になる方は光回線タイプを検討してみてください。
また音質が悪くなる可能性があるのも問題です。スマートフォン等で通信を行うと通信が不安定になり、相手方の音が聞き取りにくくなったりとデメリットが出てきます。音質等で不安のないサービスを事前に検討してみましょう。
さらに既存の電話番号をクラウドPBXへ引き継げないケースがあります。もし電話番号がクラウドPBX導入によって変更になった場合は、関係者への周知・連絡も必要です。
クラウドPBXの導入コスト
クラウドPBX導入時は、次のようなコストが発生してきます。
- 初期費用
- 月額費用
- オプション費
まず初期費用に関しては、すでに環境が用意されているため低コストで済みます。ただし0円で導入できないケースもあるので、事前に確認しておくと安心です。
また月額費用に関しては、利用規模に関して変わってきます。利用規模は実際にサービスを利用する従業員・デバイスの数によって変わってくるのがポイントです。まずはどのくらいの規模で利用するのか確認してからプランを検討してみてください。
さらにオプション費も忘れてはいけません。オプション費は0120番号の利用やチャネルアップといった機能によって発生しますが、具体的にどの機能の利用に関して料金を取るのかはサービスによって違います。オプション費によっては思ったより高額になるリスクもあるので、よく料金内容を細かく確認することがポイントです。
ちなみにクラウドPBXの料金事例としては、「初期費用5,500円〜、月額費用1万円~」というのがあります。全体のコスト相場としては数万円〜数十万円程度というのが基準となりますが、これは数十万円〜数百万円程度発生する既存PBXより低コストなので中小企業でも導入しやすいです。
クラウドPBX導入の注意点
クラウドPBXを導入する際は、次の点に注意しましょう。
- 置換コストが適切か
- 機能は十分か
- セキュリティ対策を事前に行っているか
- サポート体制が整備されているか
まず既存の電話・通信システムと置換した際のコストが削減されないと、企業予算を圧迫するだけでクラウドPBXのメリットが少なくなってしまいます。クラウド環境を共用するという点でコストは抑えられやすいですが、利用人数や付けた機能などによっては高額になるケースもあります。
ですからコスト計算はきちんと行い、適切なコストで運用できるようにしておくと安心です。
また機能についても既存システムと同じ機能、あるいはそれに近い機能を活用できないと置換が上手くいきません。転送や電話帳共有といった機能のほか、オプション機能まで検討して最適な機能が搭載されているクラウドPBXを選んでみてください。さらに既存のビジネスフォン以外のシステムと連動して利用できるかも重要です。
社内でのセキュリティ対策も重要です。セキュリティについては社内での対策を行わないと、技術的にクラウドPBXが万全でも漏洩が起きるリスクが残ってしまいます。導入前に研修を行い使い方の基本を身に付ける、導入後もルールによってきちんと運用をスムーズに行えるようにしておく、といった対策がカギとなってくるでしょう。
サポート体制については、PBXがクラウド環境にあるためトラブルが発生した際に問い合わせる必要があるので重要です。仮にシステムが停止すればいつまで使えないのか等が把握しにくいと思うので、不安に思う場合は電話・メール等で問い合わせができると安心できます。また導入時にもサポートが受けられるサービスだと安心して契約可能です。
まとめ
テレワークにクラウドPBXを導入することはメリットだけではなく、デメリットもあります。しかし、これまでのビジネスフォンでは対応しきれなくなってきているのも確かです。
とくにテレワークを導入していたり、ハイブリッドワークに切り替えたりされている企業では「電話」でのやり取りをなくすこともできず、困っている企業も多いのです。
クラウドPBXを活用することでテレワーク中で自宅や外部で勤務していたとしても、オフィス勤務のときと同じような電話対応が可能となります。またヘルプデスクのオペレータとして電話をうけることなど、柔軟な使い方ができるようになります。
テレワークやハイブリッドワークを導入中で、電話対応に不便を感じていればクラウドPBXを検討してみるといいでしょう。