社内ヘルプデスクとは、社内のネットワークやパソコン操作、ITに関することについて問い合わせをメールや電話で受ける部門のことを言います。
例えば、
- パソコンがフリーズしてしまって原因がわからない
- 突然社内ネットワークに接続できなくなってしまった
- スパムメールをクリックしてしまいウィルスに感染してしまったかもしれない
などなど、社内ITに関する問題はヘルプデスクに集まってきます。社内ヘルプデスクはITを活用している企業において、プロジェクトの業務が止まってしまわないようスムーズに進めるためにサポートする部門で、欠かすことのできない存在です。会社によっては社内ヘルプデスクが存在しますが、多くの企業では専任の担当者を設置することができていないのが現状です。
情シスや社内SEが兼務しているなど、本来の業務を持ちながら社内SEとして兼務している人が社内ヘルプデスクの役割も担うというケースもとても多いです。また、コロナ禍になったことでリモートワークやハイブリッドワークが増加し、ネットワーク環境やPC環境も一変しました。
ヘルプデスクが対応する範囲が広がったことにより、負担も増えてしまったりという課題も浮き彫りになっています。今回は社内ヘルプデスクの業務内容や課題、中小企業のヘルプデスクのあるべき姿などについて解説します。
中小企業の社内SEとして頑張っている方は、今一度振り返って業務効率化などの方法を検討してみてください。
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Contents
社内ヘルプデスクとは
ヘルプデスクとは社員や顧客などからサービス、ツールの使い方や、技術的な問い合わせや、トラブルに対し受け答えを行う仕事です。IT業界のみならず、あらゆる業界でヘルプデスクは機能しています。
近年、リモートワークの普及により、デバイスが多様化しクラウドサービスの利用が進み、ヘルプデスクの対応範囲が広がり、ヘルプデスクの業務も多岐に渡るようになりました。
社内SEとの違い
SEとはシステムエンジニアを指しています。業務が非常に似ており、求められるスキルセットも近いと言えるでしょう。
ヘルプデスクは「トラブル」にフォーカスしていますが、社内SEはIT全般におけるシステムの導入、管理、運用などを行うことから、エンジニアの技術レベルは高いと言えます。そのためヘルプデスクからのエスカレーションなどを受け付けるケースもあります。
また、中小企業であれば、社内ヘルプデスクの役割を社内SEが兼務していることも多いのですが、社内ヘルプデスクとしての作業量が予測できないので本来の社内SEの業務が滞ってしまうこともあるようです。
社内ヘルプデスクの配置の目的
ヘルプデスクを設置する場合、当然工数が増えるのでコストはかかります。
しかしながら、それでもヘルプデスクを設置する理由は、それだけのメリットが見込めるためなのです。
ここでは、ヘルプデスクを設置する理由についてご紹介していきます。
従業員満足度の向上
ヘルプデスクがあることで、従業員はいつでも問い合わせるができるという安心感を持つことができます。またトラブル対応をスムーズに解決することで、従業員満足度の向上が期待できるでしょう。
近年では、顧客向けの評価基準である満足度のみならず、従業員の働く環境にも注目が集まり、従業員満足度が話題になることも増えました。アメリカの調査会社Gartner社の調査によれば、従業員のおよそ3分の2が、余計な作業が多く、顧客のニーズに素早く対応できないと回答しています。従業員が満足する環境が整っていないと、顧客のニーズを満たすことは難しいと言えるでしょう。そのため、ヘルプデスクの設置は間接的に顧客満足度の向上にも結びつくと言えるのです。
生産性の向上
ヘルプデスクは、何かプロジェクトでトラブルがあった際に質問ができる場所です。 プロジェクトに参加したことのある方であれば経験があるかもしれませんが、PCやネットワークのトラブルは予期せず起こり業務の妨げになります。
そのトラブルに対して自分で調べたり問い合わせを行なっていると、その間の業務が滞ってしまい生産性の後退につながります。
しかし、ヘルプデスクがあればトラブルに対する対処を的確に行なってくれるので、プロジェクトサイドとしては生産性の向上に全力を注ぐことができるのです。
社内ヘルプデスクの業務内容
社内ヘルプデスク業務も分類に分けることができます。
複数名で社内ヘルプデスク業務を請け負う際には、各分野に得意な社員を配備するとヘルプデスク自体が円滑に回ります。
ローカル部門
最も問い合わせが多いですが、一件あたりの時間があまりかからないのがローカル部門です。
PCのトラブルや備品購入の見積もりなどを請け負う部門です。
現在のPCは自分で故障を治せる箇所も少なくなっているので、そこまで専門的な知識も必要ありません。
大切なのは、発生したトラブルに対し、どのメーカーに問い合わせを投げられるかを判断できる人材かです。
基本的なPCの操作に関しては対処しますが、ハード面でのトラブルが起こった際には修理をメーカーに依頼したり、レンタルであれば故障交換の連絡を行う以外にないので、事務的な業務が多い部門とも言えます。
ネットワーク部門
ネットワークトラブルに対する対応も、ヘルプデスク業務の一つです。
こちらは専門的な知識が必要であり、基本的な知識であればネットワークスペシャリスト、実務的な知識はCCNAなどが代表的です。
ネットワークが繋がらないという問題ももちろんですが、ネットワーク遅延に対する対処、さらには新たに専用回線を設置したいなどの問い合わせに対応します。
VLANの入れ替えなどはデスクワークでもできますが、スイッチの入れ替えや座席に配線を増やすなど、実作業が伴う部門でもあります。
サーバー部門
企業で環境構築を行う際には、サーバーの構築、保守が必要になります。
ネットワークサーバーはもちろんのこと、ファイルサーバーやバックアップサーバーなど、数多くのサーバーが敷設されています。
それらのサーバー群を管理しているのが、ヘルプデスクのサーバー部門です。
サーバーを構築できる知識があることが望ましいですが、Linuxで構築するのかWindowsサーバーで構築するのかによっても必要な知識は変わります。
近年仮想サーバーが主流となっておりますが、AWSやazureの普及によって実サーバーを一切持たないクラウドのサーバーでも業務を行えるようになってきていることから、会社によって必要な知識が異なることを覚えておきましょう。
中小企業は部門に分かれておらず、兼任がほとんど
基本的にはヘルプデスクの内情を見ると、ほとんどが上記に記載した部門には分かれておらず一律して業務を請け負っています。
人によって得意な部門、不得意な部門があり、問い合わせ内容によって対応する人が変わるというイメージです。
もし必要な人員を揃えることができないのであれば、早急に育成するか外注しか方法がないのが現状です。
社内ヘルプデスクの必要スキル
社内ヘルプデスクに適した人材を探す際に、どのようなスキルが必要なのかをご紹介します。
誤った人選をしてしまい「こんなはずではなかった・・・」とならないように、また突然自分がヘルプデスクに任命された際、どのようなスキルを身につければ良いのかを把握しましょう。
パソコンなどのIT関連知識
ヘルプデスクと聞くと全ての分野において十分な知識が求められるような気がしてしまうかもしれません。
実際に社内ヘルプデスクを利用したことのある方の中には、パソコンのことからネットワークのことまでなんでも知っている人というイメージを持たれていることでしょう。
しかし、全ての分野においてスペシャリストになるということは不可能です。
大切なことは、基本的なITに関する知識を備えながら、インターネットや問い合わせを駆使しながら調べられる技量が必要となります。
もちろん、ITに関して全くの素人がヘルプデスク要員になったとしても業務を続けることは難しいため、基本情報技術者試験の内容を理解できるくらいの知識は必要となります。
コミュニケーション力
知識以上に必要性を求められるのがコミュニケーション力です。
IT業界では、昔ながらの技術至上主義の方もいらっしゃるため、言葉足らずの質問やこちらからの回答が理解できない方もいらっしゃいます。
そのため、必要な情報を質問者から聞き取り、難しい内容を簡単に説明する能力はヘルプデスクには欠かせない能力だと言えます。
社内ヘルプデスクのよくある課題
社内ヘルプデスクの設置はメリットも大きいですが、どの会社にも起こっている共通した課題があります。その課題を具体的に解説します。
知識や業務が属人化する
ヘルプデスク業務を複数名で行なった場合、得意分野が必ずあります。
そのため、分野によって質問する人に偏りが出てしまいます。
また、現在はチャットツールで質問する形式が多いのですが、個別チャットにて質問をしてくる方が驚くほど多いです。
そのため、自分が関わりの深い人に聞きがちになるため、ヘルプデスク要員は十分に足りているはずなのに、業務が一定の人に偏ってしまい滞りがちになることも多いです。
「何でも屋」になり業務量が増加
ヘルプデスクは年々、「何でも屋」になりつつあり、担当者の業務負荷が増加する傾向があります。
会社の規模が拡大するほど、ネットワークは複雑化していき、さまざまなシステムが導入されます。
さらに、在宅勤務の普及やAWSなどのクラウド化により、新しいものを取り入れた際に分からなければヘルプデスクに聞くというシステムが組み上がってしまっているのです。
このように、対応範囲が広くなることで「兼務」という状態が発生します。比較的予算を確保できる大企業ではヘルプデスク業務をアウトソースするケースもあります。
しかし多くの中小企業では、IT部門の社内SEが社内ヘルプデスクを兼務しているケースが多いと言われています。社内SEが業務フローの延長線上として問い合わせ対応やトラブルシューティングも含め対応することで、社内SEが「何でも屋」になってしまうという課題があります。
常に迅速な対応が求められる
ヘルプデスクに来る質問のほとんどが、業務に支障があるためすぐに解決を求められる質問です。
ネットワーク環境の改善や共有フォルダの拡張など、時間的に余裕のあるものも中にはありますが、多くの場合何かしらの障害が起こっています。
障害が起こると開発やリリースに多大な損害を被ってしまうことから、少しでも早い問題解決が必要になります。
通常であれば迅速に対応ができるかもしれませんが、質問が来るタイミングが重なってしまった場合やなかなか解決出来ない案件を抱えた場合などは、迅速な対応が難しくなるのが現状です。
業務の対応範囲が広く負担がかかる
先にご紹介したように、何かあれば社内ヘルプデスクに問い合わせを行うという風潮がどこの会社にもあります。
場合によっては顧客環境の質問さえ、ヘルプデスクの問い合わせに来るほどです。
このように何でも屋になってしまっているヘルプデスクの対応範囲は幅広くなっているのですが、質問がない日は手が開くので人員を増員することもできません。
また、他の業務と兼任でヘルプデスク業務を行なっているケースもあるため、社員にかかる負担が増加してしまう場合が多いです。
社内ヘルプデスクの課題解決策
さまざまな問題をご紹介しましたが、いくつか解決策があります。
そこで、社内ヘルプデスクを円滑に進めるために行いたい、課題解決のための方法をご紹介していきます。
マニュアルを整備する
ヘルプデスクに来た質問を記録し、それに対するマニュアルを整備して共有することで、ユーザー側で解決してもらうことができます。
マニュアルがあっても質問してくる人は一定数いますが、その質問に対してもマニュアルを添付して答えることによって、時間は大幅に短縮されます。
マニュアル作成には時間がかかりますが、毎回同じ回答をすることを考えると負担軽減のためにはマニュアルを作成すべきです。
ツールを導入する
現在多くの現場で取り入れているのがチャットボットツールです。
Q&Aを整え、チャットボットを使えるものにするには一苦労するかもしれませんが、成功することで質問は半減します。
チャットボットの精度を高めるために外注する企業もあるほど難易度は高いですが、それくらい効果は大きいと言えます。
問い合わせ履歴を蓄積する
問い合わせがあった際に、必ず履歴を蓄積しておきましょう。
新たな質問が来るケースは少ないので、同じような質問が来た際の答え方を簡単に蓄積しておくことで、時間短縮につながります。
また、知識が乏しい社内ヘルプデスク要員でも答えられるように履歴を蓄積しておくと、簡単なものは答えられるようになるので業務分担にもつながります。
業務をアウトソーシングする
現在最も増えているのは、社内ヘルプデスクをアウトソーシングするという方法です。
ヘルプデスクの問い合わせ数は一定ではなく、何か環境が変わったり新しい人が着任したタイミングで増加します。
環境が変わることは予測不可能であることも多いため、作業計画が立てにくいことも問題の一つです。
専門知識が求められることも多いことから、自社で人材を育成するのではなくアウトソーシングすることで問題解決につなげている企業も増えているのです。
兼任社内SEが社内ヘルプデスクも対応することは困難
ここまで解説してきた通り、ヘルプデスクは一定以上のニーズがあり、重要性が増しているにもかかわらず、対応範囲が多岐に渡り業務負荷が高い機能と言えるでしょう。
中小企業ではITに詳しい担当者が、社内SEとしての役割と、ヘルプデスクの役割を対応しているケースが多いと言われていますが、本業に影響が生じ、ヘルプデスクのメリットを享受できない可能性が高いと言えるでしょう。
また属人的な状況を生み出しやすく、担当者の労働環境が悪化することで、離職率が高まるでしょう。このようなIT人材の流出は中小企業にとってダメージも大きいと言えます。近年IT人材の人手不足が深刻化しており、スキルのある経験者を採用するためには非常に多くの採用コストが必要となります。
ヘルプデスクの負荷を経験するため、従業員のITリテラシーを向上するための研修を定期的に行い、一定レベルのITスキルを見に付けることも大切です。余計な時間が取られると思われがちですが、ITスキルを取得することである程度の問題は自己解決することも可能になるでしょうし、セキュリティに対しての知識が身につけば、大抵のセキュリティリスクは回避することが可能になります。
ヘルプデスクの業務は、問題発生時に解決することだけではなく、問題が発生しないように、問題が発生しても自己解決できるように、従業員のITリテラシーを向上することも業務の1つだと考えたほうが良いでしょう。
社内ヘルプデスクの業務負荷は軽減できる
企業にとって、社内ヘルプデスクは、実際には重要度の高い業務です。
しかし、だれでも対応できるというわけではなく、一定のスキルと幅広い知識が必要なため、中小企業の担当者にとっては業務負荷が高くなる傾向が強いのです。
効率化の一つの手段として、ヘルプデスクの一部業務をアウトソーシングすることは有効です。
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