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ワンオペ情シスが抱える問題とは?経営者の無関心が最も危険なワケ!

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ひとり情シスのリスクとは

新型コロナウイルス蔓延に伴う、首都圏を中心とした緊急事態宣言の適用は長期化しており、まだまだ出口の見えないトンネルを進んでいる状況です。日本人口の約半分が2回目のワクチン接種を完了したという報道が、今後の感染者の減少を期待させているものの、緊急事態宣言解除を含む、沈静化は不透明です。

企業活動に於いては、政府の要望に基づき、テレワークの推進が定着化してきています。東京都の発表によると都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は64.8%。4月の前回調査(56.6%)に比べて8.2ポイント上昇し、過去最高となっています。中小企業を含めてテレワーク(リモートワーク)が定着していることが明らかになりました。

参考:東京都 産業労働局 テレワーク実施率調査結果をお知らせします

リモートワークの導入、またそれに伴い社内サーバのクラウド化、リモート作業環境の構築など、従業員が働く環境をつくるための、IT担当者の業務は急激に増えています。とはいっても、中小企業でIT担当者を複数名設置したり、情報システム部門を設置したりするような体制を組むことは非常に難しいでしょう。

そのため、他業務との兼務でITに詳しい社員がひとりでIT業務を全て担当しているという「ワンオペ情シス」が増えています。

ワンオペ情シス」とはどのような状況なのか?また、孤軍奮闘しているワンオペ情シスにはどのようなリスクがあるのか、コロナ禍・アフターコロナを見据えて、どの様な対応が求められるか、詳しく解説いたします。

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そもそも情シスとは

情シスとは、「情報システム部」を略した言い方です。情シスは、業務にITが多く活用されている企業では必要不可欠な存在です。

企業が業務で使う業務システムやサーバー、ネットワーク回線、パソコンなどを一括で管理しています。情シスまたはIT部門、社内SEと呼称されることが多いようです。情シスの業務内容は大きく分けて4つです。

情シスの業務内容

・基幹システムの構築・運用・保守
基幹システムとは、経理・営業活動を支える企業の生命線です。業務要件に沿ったシステムを構築します。
基幹システムが停止すると業務に影響があるため、保守・運用業務もしていかなければなりません。

・インフラの構築・運用・保守
インターネットに関するサーバーやネットワークを正常に稼働させ、業務に支障が出ないようにする役割を担います。ネットワークやサーバーの運用・監視・障害の対応が主な業務です。セキュリティ対策も近年重要視されています。

・パソコン、モバイル端末ソフトウエアのライフサイクル管理
全社員へのパソコンやモバイル端末の提供が必要な中、その調達・セットアップ・管理・保守が必要となります。リモートワークが拡大する中では、セキュリティレベルを維持した上で、社内リソースへのアクセスを円滑に行う為の仕組みも必要になってきました。

また、PCやIT機器の資産管理、PCにインストールされているアプリケーションのライセンス管理なども含まれます。

・ヘルプデスク
リモートワークの社員が増える程、システムへのアクセス不良、ネットワークが遅いなどシステム利用を円滑に進めるためのサポートデスクが必要です。サポートする前提として、利用者のマニュアルを作成したり、FAQによる利用者の自己解決をお願いすることもヘルプデスク業務に該当します。

情シスが担当する業務とは

情シスの4つの形態

情報システム部門の組織としては、企業規模に応じて以下の4つの形態が考えられます。

1.ひとりで担当

情報システム業務を1人で担当することは珍しくありません。孤軍奮闘している情シスがワンオペで頑張っている姿を見られることがあります。
ITに詳しい人が担当担ってしまうケースが多いですが、他に分かる人がいない場合は属人化してしまいます。

2.他部門が兼任

情報システム部門という部署を作らず、経理部や総務部が情報システムを兼任する場合があります。会社の窓口になり、IT機器会社やシステムベンダーを社内とつなぐ役割をすることが多いです。こちらも、ワンオペ情シスと言えます。

3.アウトソーシング

ITベンダーに業務自体をアウトソースします。システムの運用・保守、PC、ネットワーク導入など多岐にわたって対応してくれるサービスを提供しているので、自社の責任範囲を明確することが重要となります。中には、ITベンダーの担当者が常駐してくれたり、定期的に訪問してくれたりするサービスもあります。

4.複数人で担当

複数人で情報システム部門を構成する場合、基幹システム担当、ネットワーク担当など役割分担をおこなうことが一般的です。企業規模が大きくなるほど、その人数も増える傾向にありますが、最近はクラウドサービスの活用によって管理業務が減少していることもあり、企業規模が大きくても情報システム担当は過少なことも少なくありません。

ワンオペになっている情シスとは

先にご紹介した、ワンオペ情シスですが、中小企業での情報システム部門という位置づけとして考えていいでしょう。
少し古い調査ですが、ITベンダーのDELL社が、2018年12月~2019年1月の期間で国内の中小企業の顧客約860社を対象にワンオペ情シスの実態を調査しています。
その結果では、4割近い中小企業が情シスの運用を行っていました。

・企業内にIT専任者が一人しかいない「ワンオペ情シス」の割合が18.8%
・IT専任担当者が一人もいない「専任不在情シス」の割合が18.8%(兼任)

日本の中小企業は企業数で言えば全体の中で99%以上,労働者は7割を占めていますので、ワンオペ情シスの割合が多いことがわかります。

情報システム部門の要員が少ない理由としては、アメリカとのIT要員の比較を見て頂くことで理解できます。

アメリカでは、IT人材の内、65%がユーザー企業に所属しているのに対して、日本では28%に留まっています。7割以上がITベンダーに所属していることで、中小企業の情報システム要員が、“ワンオペ情シス“になってしまう現状もやむを得ない事情もあります。

総務省:平成30年 日本と米国の情報処理・通信に携わるICT人材

ワンオペ情シスになっている問題

この問題は、情報システムの担当者が一人しかいないということです。優れたIT技術者であっても、一人でPC、サーバ、ネットワーク、業務システム、さらにはセキュリティまでを管理するのは困難です。そうした業務範囲の広さと業務負荷の高さが、ワンオペ情シスの問題点です。具体的には、以下5点の問題が考えられます。

1.障害対応なども一人で対応しなくてはならない
基幹システムの障害、社員のPCの障害、レベルに関わらずヘルプデスク窓口として一人で対応しなければなりません。ですが、当然ながら、障害が発生した場合でも一人ではできる対応に限りがあります。優先順位を決めて対応する必要がありますので、全ての対応をしていくとどうしても時間が余計にかかってしまいます。

2.業務量が予測できない
企業は、様々な外部要因に対応していかなければなりません。直近では、間違いなく、リモートワークへの対応でしょう。社員が社内で利用しているPC及び社内システムを自宅で利用できる仕組みに、バージョンアップさせなければなりません。

一気に業務量が拡大します。メールや社内ワークフローのクラウド化、PCに対するセキュリティレベルの強化見直しが必須になってきます。それに関わる社員からの問い合わせも増えることになります。そうすると、これまでの定業業務の他にリモートワーク対応が差し込まれることになり、業務の品質は著しく低下してしまうことになります。

3.全てに対応できるスキルを持ち合わせていない
中小企業では、偶然にITスキルを保有している社員が、社長の命により、ワンオペ情シスに任命された、というケースが少なくないようです。パソコンにたまたま詳しい場合でも、企業の経理営業の基幹システムの開発に詳しい訳でもなく、ECサイトの構築に詳しい訳でもありません。

対応できない技術範囲はITベンダーへ依頼するしか方法がないですが、ベンダーコントロールに長けていないと逆にコントロールされてしまうというような事態も考えられます。

4.相談できる人がいない
ワンオペ情シスでは、ITに理解を持ち、業務内容について相談できる人が社内にいません。新しい技術やソリューションを導入しようにも、それが正しい戦略なのかどうかを判断できない。システムトラブル・セキュリティトラブルが起きれば、クレームが、真っ先に自分に飛んでくる。こういった、不安を抱えたまま業務を進めることになります。

ノウハウを持っているわけでも、常に最新の情報を収集しているわけでもない場合、社内のIT環境が適正かが誰も判断できない状況になっています。

5.依存していると担当者は休むことも難しい
ワンオペ情シスということは、その担当しか把握していない、という完全な属人化状態になることです。システム利用中のトラブルに遭った社員は、何とか解決して欲しいと、休み中にも連絡をしてくることになってしまいます。

なぜ、ワンオペ情シスになっているのか?

なぜひとり情シスになっているのか

ワンオペ情シスのリスクは、明らかに存在しているのですが、なぜ、一人で全てを担うことになるのでしょうか。中小企業の経営背景を考えるとその理由が見えてきます。

1.経営者に理解されていない
IT部門の重要性について、経営者に理解されず、“ワンオペで大丈夫でしょ?“との思い込みから、複数人の採用に至らない状態となっているケースがあります。こういった場合、システムは動いて当たり前と考えている経営者が、システム部門の業務について理解しようともせずに、任せきってしまっていることが大半です。

そのようにIT業務を全て担当者にまかせてしまうと属人化してしまい、社内のIT業務については全て担当者に確認しないとわからないという状況になってしまい、業務が多忙であればドキュメント化しておくこともできず、退職リスクなどを踏まえると非常に危険な状況であることに気が付かれるでしょう。

2.IT人材不足により採用できない
先の通り、日本企業では、IT人材が常に不足していることもあり、中小企業でのIT人材の採用は非常に難しくなっています。中途採用IT人材は、経験が評価されることもあり優先的にITベンダーに転職することが一般的で、ユーザ企業(事業会社)の情報システム部門への転職希望はどうしても優先度が下がってしまいます。また、ユーザ企業(事業会社)の採用担当者がIT人材の価値を判断できないということも採用が遠ざかる1つの要因でもあります。

3.今なんとかなってしまっている
ワンオペ情シス状態でも、担当者の献身的な努力によって、何とか業務が推進されてしまっている。“孤軍奮闘(ワンオペ)” 状態を続けている場合、増員の必要性が周囲に伝わりにくいようです。

もし担当者に負担がかかり続けているのであれば、どこかで破綻してしまうかもしれないのですが完全に属人化してしまっていて、周囲からもその危険信号をキャッチすることができない状態になります。

現在の情シスを取り巻く環境

アイ・ティ・アール社の「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」(2020年4月調査)によると、情報システムに関する緊急課題となったのは、企業規模に関わらず、“働き方改革”でした。つまり、テレワークの導入と、そのためのデバイスやインフラ、ネットワークの整備が課題になっていると想定されます。

10~99人の中小企業の場合、“当てはまるものがない”が25%を占めており、先にご紹介した“ワンオペ情シスの問題”が特有の課題として考えられているのかもしれません。

参考:アイ・ティ・アール「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査(2020年4月)」

外部ベンダーに丸投げはリスクも大きい

IT担当者が一人またはゼロ(兼務)なのだから、ITベンダーに全てのIT業務を丸投げしてしまえばいいのでは?となるかもしれません。ですが、“丸投げ”と“業務委託”は全く異なります。丸投げしてしまうと、大きすぎるリスクを抱えることとなってしまいます。

業務量がひとりで抱えきれない場合は、ITベンダーに頼らざるをえませんが、外部ベンダーとどのような付き合い方をするのかが非常に重要なります。

自社でどこまで対応し、カバーする技術範囲を決めた上で、どの様な作業をしてもらうのか計画を立て、ベンダーに業務委託として業務をきりだしたて依頼できることが理想的です。

丸投げしてしまうことの一番の問題は、IT担当者の主体性が失われることです。主体性がなくなってしまったIT部門は、外部ベンダーの判断に委ねることになってしまい、自社の情報システムのコントロールができなくなってしまう可能性があります。

また、ITベンダーに丸投げしてしまうことによって、その作業進捗や品質が分かりにくく、妥当性すら判断できなくなることも考えられます。

情シス業務のアウトソーシングについての詳細は「情シスのITアウトソーシングはメリットも多いがサービス選定が重要!注意点やポイントを解説」の記事で紹介しています。

目指すなら真の「ワンオペ情シス」

中小企業では複数人数での情シス部門を設置することは難しい状況です。そうであるならば業務の効率化を測り、最適な環境をつくり、ワンオペ情シスでも対応できるようにすることが重要となります。

ワンオペ情シスという立場を逆手にとって、情シスとしての権限を高めることが出来れば、比較的自分のペースで仕事を進められます。権限をもらった上で、外部ITベンダーをいかに活用していくのかということになります。前述の通り、外部ITベンダーへは、丸投げではなく、何をしていくのかの方針は自社でたて、外部ベンダーに依頼する業務を明確にすることで、チーム体制が構築でき担当者はリーダーとして舵を取る役割を担えば良いわけです。

例えば、サーバ・データベースの管理方針は自身で作成し実現方法や構築作業はITベンダーへ委託する、PCネットワーク管理・保守は定常的な作業が多いため完全に外部ベンダーにアウトソースするというように、業務内容によって外部ベンダーの活用していく方法も考えられます。

当然ながら、システムを企画し概要設計する主導権は自分の側にあるべきです。発生する投資・コストの妥当性がわからなくなってしまうからです。

ワンオペ情シスは経営者の理解が最も重要(まとめ)

ワンオペ情シスとは何か?どの様なリスクがあるのか、背景を含めてご紹介しました。

社内のIT業務を全て1人で対応できるような“スーパーマン“人材を確保することは難しいと思います。

そういった、何でも対応できるスーパーマン(フルスタックエンジニア)のような人材は非常に高給取りだったり、ITベンダーやITコンサルティング会社だったりに転職することでしょう。

では、高級人材を採用することが難しい中小企業はどうすればいいのでしょうか?

その答えは、ひとりで運用できる体制を経営陣が構築してあげればいいのです。

外部ITベンダーを活用し、作業的な業務はベンダーにまかせ、情シス担当者は社内IT環境の今後の方針決定や、各種判断をするような組織にすればいいのです。

1年を通して情シスの業務や作業は一定の負荷がかかるわけではなく、季節や時期によって負荷が集中するのです。

例えば、4月の新卒入社時期などはPCのキッティング、各設定などで作業が大幅に増えたりと一時的に負荷があがることが一般的です。定常的な負荷ではい業務に社内の人材を設置してしまうと、手が空いてしまう時期がでてしまい非常に非効率です。

そのような一時的な負荷が上がる作業については外部ベンダーに委託するような対応から始めてみて、外部ベンダーが信頼できるかをテストしてみてもいいでしょう。

情シス業務の棚卸をして、適切な業務分担を行うことで、それが実現できます。例えば、なんでもITヘルプデスク業務をしていませんか?

PCの使い方や、PCが起動されないといったようなことも全て社内で対応していると、ワンオペ情シスは実現できないでしょう。

作業的な業務、ヘルプデスク、最新のIT知識などは外部ベンダーに任せ、社内担当者はベンダーコントロールと、ベンダーの業務内容を把握することに努めて、今後の社内IT改善の判断材料にするといいでしょう。

外部ITベンダーの選定にも注意は必要です。依頼をすると対応するといった、受身のベンダーは非常に多いのです。
アドバイスや提案をしてくれるような自社のことを考えてくれるような、ベンダーを選ぶことが大切です。

もし、真のワンオペ情シスを目指される場合はITボランチにご相談ください。体制が構築できるまでの間、ITボランチがIT業務を対応させていただき、体制ができたら引き継ぎまでサポートさせていただきます。

急いで体制をつくってしまうと、IT業務の抜け漏れなどがあったり、情シス担当者との信頼関係が築ける前に任せてしまい、急激に負荷がかかった新任の情シス担当者がギブアップして退職してしまうなどのリスクがあります。

また、専任のIT担当者を設置する予定はないけど、社内の詳しい人間が兼務でなんとなく対応しているという場合も多くのリスクが隠れています。

特に最新の情報を収集していなかったため社内環境の整備が遅れていたり、兼務の担当者の繁忙期にはIT業務まで手が回らなかったりと、やらなくてはならないことができていない企業様が非常に多いのです。

そんなときは、IT担当者様のご負担を軽減するためにも、IT業務についてはITボランチにお任せ頂ければ、様々なご判断は貴社にておこなっていただき、ITボランチは最新の情報提供や、アドバイスやご提案を行いつつ、IT業務全般をお任せいただけます。

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