昨今、様々なSaasやアプリケーションを利用して業務を推進することが一般的になってきています。特に多くのアプリケーションはサブスクリプション型になっていることもあり、多くの場合はサービスを利用するためにIDとパスワードによるアカウント情報での認証が必要になっています。
アカウント情報を管理する必要性がでてきますが、アカウント数が増えるほど煩雑になってしまうケースも多いようです。
そのため、企業のアカウント管理はセキュリティ確保や業務効率化のために重要です。アカウント管理の方法や管理上の問題点、管理ツールの選び方を紹介します。
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Contents
アカウント管理の方法
企業・組織におけるアカウント管理とは、重要情報や資産、システムへのアクセス可否を決める重要なものです。
アカウント管理を適切に実施しなければ、アカウント情報が外部に漏れてしまいセキュリティの抜け道が出来てしまうことになり、重大な損失につながる可能性があります。ここでは、アカウント管理の方法を3つ紹介します。
Excelなどの手動管理
Excelやメモ帳を用いた手動のアカウント情報の管理方法は、中小企業やスタートアップ企業で多くみられます。
Excelを使用するメリットは、Excelが多くの人にとって親しみやすく、簡単に始められる点です。しかし、この手動管理方法には大きなデメリットがあります。
それは、セキュリティが弱く、ヒューマンエラーによるデータの誤入力や漏洩のリスク、情報の非同期化が挙げられます。また、成長途上の企業においては、手動管理はスケーラビリティに欠け、アカウント情報の効率的な管理を妨げる要因となるでしょう。
パスワード管理ツールの導入
セキュリティ確保とアカウント管理の効率化のために、多くの企業がパスワード管理ツールを導入しています。パスワード管理ツールを導入するメリットは、強力なパスワード生成やパスワードの一元管理、ログインプロセスの自動化などが提供されますが、従業員にとって非常に便利であることも導入のポイントでしょう。そのため、従業員は意識せずとも、推測されにくいパスワードを自動生成し、パスワードは自動入力されるので、複数アカウントの管理をする必要がなくなるでしょう。
パスワード管理ツールには複数種類あり、ツールのLastPassや1Passwordには、二要素認証やセキュアなパスワード共有オプション機能があります。
ツールの機能が多いと使いづらいと感じることもあるため、自社に合ったパスワード管理ツールを選ぶことがポイントです。
IT運用保守サービスの導入
IT運用保守サービスは、アカウント管理を含む多くのIT関連業務を効率化し、セキュリティを強化することが可能になります。
このサービスは、定期的なシステムのメンテナンスやソフトウェアの更新、セキュリティの監視業務を代行することが可能です。その他にも、クラウドサービスの管理やリモートアクセスのセキュリティ確保、災害時のデータ復旧計画など、専門知識を要する領域をカバーしています。
ただし、IT運用保守サービスの内容は企業によって違いますので、希望の範囲をサポートしてくれるサービスなのかはしっかり確認することが大切です。
アカウント管理に適切なルールが必要な理由
アカウント管理には適切なルールが必要であることはご存知でしょうか。ここでは、そのルールが必要な理由を3つ紹介します。
情報漏えいを防ぐため
情報漏えいが起こった場合、企業の信用が失墜し顧客の信頼喪失、法的責任の発生など、非常に深刻な被害を招きます。
情報漏えいを防ぐためには、厳格なアカウント情報の管理と定期的なセキュリティチェックが不可欠です。
例えば、パスワードの定期的な変更やアクセスの監視、不審な操作の即時検出といった措置が挙げられます。
他にも、パスワード管理ルールではパソコン等の端末に付箋でパスワードを貼ることやパスワードの使いまわし、離籍時にデバイスのスクリーンセーバーの設定など、ユーザー目線でのルール設定もポイントです。
不正利用を防ぐため
アカウントの不正利用が起こると、権限のない従業員が見てはいけない企業のデータを盗み見ることや、知的財産を外部に持ち出すことが可能になります。
不正利用を防ぐためには、アカウント毎に適切なアクセス権限を設定し、権限のないデータや情報へのアクセスを厳しく制限する必要があります。
また、万が一悪意のある第三者から不正ログインの試みがあった場合は、早期検出し、不正ログインに対応するための仕組みを整備することが重要です。
例えば、不審なログイン試行があった際にアラートを発するシステムや、異常なデータアクセスパターンを検出するモニタリングツールの導入が効果的となります。
ビジネスを効率化するため
アカウント管理を適切に行うと、従業員の生産性が向上します。
なぜならば、効率的なアカウント管理を行うことで、従業員はアカウント関連の問題に時間を費やすことなく、本来の業務に集中することができます。
例えば、シングルサインオン(SSO)システムを利用することで、従業員は複数のサービスに一度のログインでアクセスでき、ログインに関する時間を削減することが可能です。さらにはアカウント情報のパスワードは従業員に把握させずに、管理者が集中的に管理することも可能となり、従業員が煩わしいパスワードの管理から解放されると共に、パスワードの漏洩によるセキュリティ被害も防ぐことができます。
他にも、アカウント情報を失念時に何度も間違えてしまい、ロックアウトした場合にロックが解除するまでの待ち時間を削減することができます。
SSOシステムやIDaaSを利用すれば、入社時の各種アカウントの登録や、退社時の各種アカウントの削除などの対応も効率化できますので、キッティングの作業時間の短縮にもつながります。
アカウント管理の問題点
アカウント管理の重要性を理解しているIT部門の社員は多いですが、適切に実施できている企業は多くありません。ここでは、アカウント管理の問題点を3つ紹介します。
アカウント管理業務の煩雑化
アカウント管理業務は、年々複雑なものとなっています。なぜならば、入社や退社する従業員のアカウント準備、役割変更のオペレーション、新システム導入時の全従業員分アカウントの追加など、多くの細かな業務が発生するため、煩雑になってしまっているという現状があるためです。特に、手動での管理は、非効率的かつ人的ミスなどの間違いを起こしやすくなります。
情報漏えいリスクの増加
近年、外部の攻撃者による攻撃パターンが増えているため、情報漏えいのリスクが増加しています。
特に、手動管理では生産性も低く、前述したExcelを外部の攻撃者に盗まれた場合、被害は甚大になるでしょう。
他にも、従業員が利用するシステムの増加に伴い、授業員はマンネリ化してしまうパスワードを使い回して設定してしまい、管理不備、不適切な共有、使い回しリスクなどが起こりやすくなっている状況といえます。
現在でもパスワードをテキストファイルなどにまとめて保存していたり、ディスプレイに付箋をあって置いたりする人がいなくなりません。このようなITリテラシーが不足している状態で、アカウント情報の管理を従業員に任せるというのはかなりのリスクが潜んでいます。
パスワードの設定を従業員に待たせてしまうことは非常に危険ですが、予防するための従業員の教育にかかるコストは馬鹿になりません。別の手段を検討したほうが建設的かもしれません。
雇用形態の変化
現代の労働市場では、リモートワークやフレックスタイム、契約社員やフリーランスといった多様な雇用形態が普及しています。これらの時代の変化に伴い、アカウント管理も柔軟に対応する必要があります。
アカウント情報の管理者は、リモートワーカーや契約社員に適切なアクセス権を与え、期間限定のアカウント設定やアカウントの無効化が必要です。多様化した働き方の従業員のアクティビティを把握すること重要です。
このように多様な要件に対応するため、カスタマイズできる拡張性の高いアカウント運用が求められています。
アカウント管理ツールの選び方
では、アカウント管理ツールを導入する場合、どのような基準で選ぶと効果的でしょうか。ここでは、アカウント管理ツールの選び方を3つ紹介します。
自社の規模や予算
自社の規模や予算に合ったアカウント管理ツールの選定は、コスト効率と効果を最大化することができます。
例えば、大企業や特定の業界では、複雑な要件に対応するためのカスタマイズ機能や高度なセキュリティオプションが必要となり、中小企業では低コストで簡単に導入できるクラウド型のツールが適していることが多いです。まずは、予算を確認しておくことをおすすめします。
提供形態
アカウント管理ツールの提供形態は、企業のニーズに応じて選択する必要があります。
例えば、ソフトウェア型はローカルでの管理ができ、保存データの完全なコントロールが可能ですが、メンテナンスやアップデートには専門知識が必要です。クラウド型は初期費用が低く、アクセスが容易ですが、インターネット接続に依存します。自社のITインフラやセキュリティポリシーに合った形態を選択することが重要です。
利用する機能の範囲
アカウント管理ツールは、自社のセキュリティポリシーと照らし合わせて選定する必要があります。
なぜならば、アカウント管理ツールには多種多様な機能を有しているツールがあるためです。ライフサイクル管理やワークフローシステム、シングルサインオン、特権ID管理など、自社が必要とする機能と利便性の高いツールを選ぶ必要があります。また、自社の将来性や変化に柔軟に対応できる拡張性も重要な選定基準の一つです。
また自社の情シスや社内SEなどの社内IT担当者が対応できなくてはなりませんので、きちんと運用まで対応できるかの確認をしておくことが大切です。
効率的なアカウント管理でセキュリティも強化
近年ではどのような企業でもMicrosoft365(office365)やGoogle Workspaceなどのサービスは利用されたことがあると思います。すでに業務を進める上で、多くの場合パソコン(PC)は必須となっており、パソコンの中では多くのアプリケーションを利用されていることに気づかれるかと思います。それらのアカウント情報を管理することは企業の信頼にもつながるのです。
自社に合ったアカウント管理ツールの導入は、セキュリティを強化し、情報漏洩のリスクを減らすことができます。
不正アクセスやサイバー攻撃を未然に防ぐことで、個人情報流出や重要情報流出から起こる企業の社会的信頼の失墜も防ぐことが可能です。
他にも、効率的なアカウント管理は、IT部門の負担軽減にも繋がります。アカウント情報に関する問い合わせ解答やオペレーションに多くの時間を割く必要がなくなり、より重要なIT戦略やイノベーションの推進に集中する効果があります。
しかし、自社にあったアカウント管理ツールの選定は、前述した通り、自社に合ったツールを選定しなければ効果は十分に発揮されないため注意が必要です。
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