企業の情報システム担当者にとって、社内業務で使用するPC機器(法人向けPC)の買い替えは非常に頭の痛い問題です。
多くの企業にとって、PCをはじめとするIT機器はなくてはならないものになっている以上、古い機器を使い続け、性能劣化や故障によって業務に支障が出る事態は避けなければなりません。
ただ、大企業になればなるほど、取り扱うPCの数は多く、買い替えに伴うコストは多大なものとなります。そのため、PCの入れ替え時期は慎重に検討する必要があるのです。
この記事では、法人向けPCの寿命や買い替えを検討する時期やその理由について詳しく解説していきます。
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Contents
PC機器の寿命はどのくらいなの?
まず、法人向けPCではなく、家庭向けPCも含めたPC機器全般の寿命はどのくらいなのでしょうか。
一口にPC機器の寿命といっても、様々な要素によって異なります。
ここでは、PCの寿命に影響を与える要素を確認し、一般的な機器の寿命について解説していきます。
ハードウェアの品質
PCの部品の品質が高ければ高いほど、寿命も長くなる傾向があります。高品質のハードウェアは、より耐久性があり、長期間正常に機能し続けることができます。
また、ハードウェアのスペックや品質が低い場合、OSやソフトウェアのバージョンアップを行うと性能が追いつかず、まったく使い物にならないということもよくあります。
低価格帯のPCだからといって、一概に寿命が短いということにはなりませんが、高品質のハードウェアを持つPCは総じて長い期間の使用に耐えられるということは言えるでしょう。
使用頻度と使用環境
PCの使用頻度や使用環境も寿命に影響します。
長時間連続して使用したり、ハードな作業を行ったりすると、PCの部品に負荷がかかり、寿命が短くなる可能性があります。
また、埃や湿気の多い場所で使用すると、内部の部品に悪影響を与える可能性があるため、機械の寿命が短くなる傾向にあります。
ソフトウェアのサポート
PCの寿命は、ソフトウェアのサポート期間にも関連しています。
一般的に、OSやアプリケーションソフトウェアのメーカは、製品のサポートを一定期間提供します。この期間が終了すると、セキュリティパッチやアップデートが提供されず、安全性や機能性に問題が生じる可能性があります。
もちろん、ハードウェアとして動作するのであれば、使用を続けることはできますが、セキュリティ等に懸念があるPCを使い続けるのは、決して賢明な判断ではありません。
PCの寿命には、上記のような要素が影響するため、一概には言えませんが、適切なケアとメンテナンスが行われた場合、一般的な寿命は5年から7年程度と考えられています。
ソフトウェアのサポート期間の詳細については「EOLとは?EOSとの違いは?放置するとリスクが増加する」の記事で紹介しています。
法人向けPCの買い替えが必要になる原因
法人向けPCの寿命には、家庭向けPCとは異なる要素が影響します。法人向けPCは通常、ビジネス環境での使用を前提としており、高い信頼性と耐久性が求められるからです。
スペックの不足
IT技術は日々進歩しており、新しいハードウェアやソフトウェアが開発されています。旧型のPCでは新しいアプリケーションやソフトウェアを動作させるのが難しくなることもあるかもしれません。
業務で利用するソフトウェアを動作させるのにPCのスペックが不足していると、業務の遂行のパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。
法人向けPCについては、スペックの不足に陥っていないか注視しておく必要があるのです。
サポートの終了
ハードウェアやOSのサポートが終了するタイミングも、買い替えが必要となるタイミングです。
ハードウェアのサポートが終了した場合、部品の調達ができません。PCが壊れたらそこで終わりです。重要なデータを取り出すこともできない場合もあるかもしれません。
OSのサポートが終了した場合は、セキュリティパッチやソフトウェアの更新が提供されなくなります。
特にセキュリティの脆弱性については、放置すると情報の流出やシステム停止など、企業として致命的な事態を招きかねません。
拡張性や互換性の欠如
古いPCなどの機器は、新しいハードウェアや周辺機器との互換性がなくなってしまうことがあります。
接続端子など物理的な理由で接続できなくなったり、OSやソフトウェアの対応状況により接続ができなくなることもあり得ます。
新たな業務要件や技術の導入に対応するためには、拡張性や互換性を満たす新しい機種にアップグレードする必要が出てくることもあるかもしれません。
上記のような要素を踏まえると、法人用PCは家庭用PCよりも早めに買い替えを行なっていく必要がありそうです。
家庭用PCが大体5年から7年ぐらいを寿命とするならば、法人用PCの利用は最長5年程度に留めておいた方が良いでしょう。
法人向けPC買い替えの際に必要になる作業
PCの買い替え・入れ買えに伴い必要になる作業は、家庭用PCでも法人向けPCでもほぼ同じです。
しかし、業務で使っている機器である以上、法人向けPCの方がデータの取り扱いを慎重に行い、スムーズに移行を行う必要がありそうです。
ファイルのバックアップ
古いPC内の重要なファイルやデータを新しいPCに移行する前に、バックアップを作成しておきます。
外部ハードドライブ、クラウドストレージ、USBフラッシュドライブなど、適切なバックアップメディアを選択しましょう。
プログラムやアプリケーションの再インストール
古いPCで使用していたプログラムやアプリケーションは、新しいPCに再インストールする必要があります。
元のインストールメディアやダウンロードリンク、アクティベーションキーなどが必要な場合がありますので、それらを準備しておきましょう。
データの移行
バックアップからファイルやデータを新しいPCに移行します。
バックアップデータを新しいPCにコピーするか、クラウドストレージからダウンロードするなどの方法を選択してください。
古いPCの廃棄
古いPCの廃棄やリサイクルの手続きを行います。
個人情報の取り扱いには注意が必要ですので、適切な方法でデータを削除することが重要です。
ハードディスクの物理的な廃棄を行なったり、専任の廃棄業者に依頼するなど、データ漏えいが起こらないような手段を取りましょう。
法人向けのPCは、なぜ壊れるまで使ってはいけないのか?
法人向けのPCは、家庭用PCとは違い、壊れるまで使い続けることはさまざまなリスクが隠れているため、おすすめできません。
ここでは、法人向けPCはなぜ壊れるまで使ってはいけないのか、その理由を解説していきます。
生産性の低下を招く可能性がある
古いPCや壊れかけのPCを使い続けると、動作が遅くなり、処理速度が低下する可能性があります。
業務で利用するPCの場合、作業の効率が低下し、生産性が損なわれる可能性があります。最新のテクノロジーや高性能のハードウェアを備えたPCを使用することで、作業効率を向上させることができます。
セキュリティリスクに晒される
保守切れOSを搭載したPCは、最新のセキュリティパッチやアップデートが提供されていない場合があります。
それによりセキュリティの脆弱性が存在し、悪意のあるソフトウェアや攻撃者による侵入のリスクが高まります。サポート期間内のOSであれば、セキュリティ機能やアップデートの提供が行われるため、安全性が向上します。
サポートや保証の終了
PC製品のメーカは、製品のサポートや保証を一定期間提供します。
サポートや保証が終了して、故障や問題が発生した場合、修理や交換が困難になる可能性が高くなります。そうなることで、業務の継続やデータの救済ができなくなる場合があります。
保証期間内のPCを使うことで、メーカーのサポートを利用できるため、トラブル時の対応がスムーズになります。
法人向けPCの入れ替えを検討する際のポイント
法人向けPCの入れ替えを検討する際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
パフォーマンスとスペック
PCのパフォーマンスとスペックは業務を滞りなく行うためには重要な要素です。
業務をスムーズに行うために必要な処理能力、ストレージ容量、メモリ容量などを検討しましょう。また、セキュリティ機能や管理機能も重要な要素です。
互換性と移行
新しいPCが既存のシステムやアプリケーションと互換性を有しているかどうかを確認しましょう。
これまで使用していたアプリケーションが使えなくなってしまったとなると、業務への影響も懸念されます。
また、既存のデータや設定を新しいPCに移行するための手段や方法を検討しましょう。業務に影響を及ぼさず、PCの切り替えを行うには、シームレスな移行が重要です。
コストと予算
PCの入れ替えにはコストがかかります。
予算の範囲内で最適なPCを選ぶために、価格、保守サービス、ライセンス費用などを比較しましょう。また、長期的なコストや投資対効果も考慮する必要があります。
パソコン本体のコストだけではなく、将来的に発生するコストなども考慮してトータルコストを想定しておくといいでしょう。
終わりに
法人向けPCの寿命としては大体5年を目安と考え、買い替えの検討は3年を過ぎたあたりと考えるのが良いタイミングと言えそうです。
もちろん、すべての機器の寿命が同じということではありませんが、目安としては間違いないでしょう。
特に半導体不足からパソコンの出荷がかなりの期間遅延してしまったりする環境が近年でも起こりました。完全には半導体問題はクリアされていないことからも常に市場の情勢には注意しておくことでリスクを軽減できるでしょう。
法人向けPCの場合、あまりに長く使い続けると、業務の継続に影響を及ぼす多くのリスクを抱えることになりかねません。
社内に3年を過ぎたPCを保有している場合は、まずは専門家に相談してみましょう。