この記事では、ネットワーク回線のWi-Fiと無線LAN、有線LANの違いについて解説します。さらに、どのシチュエーションでWi-Fiや有線LANを使うべきか、ネットワークの選択方法なども紹介していますので、Wi-Fiと無線LANの違いについて気になる方は、是非ご覧ください。
意外とWi-Fiと無線LAN、有線LANについて明確な違いを把握していない人も多いと思いますのでぜひご参考ください。
Contents
そもそも「LAN」とは何か?
閉じたネットワークを「LAN」という
「LAN」は、ローカルエリアネットワーク「Local Area Network」の略です。
「Local」は日本語では「地元」という意味で、特定の限られた地域のことです。
したがって、LANは、特定のエリアにあるコンピュータ同士をつないで構築したネットワークを表します。
特定のエリアというのは、例えば一つの部屋、一軒の家、ビルの1フロア、会社などに相当します。
一方、「LAN」の対義語は「WAN」です。WANとは「Wide Area Network」の略称です。「Wide」は「広い、広域の」という意味なので、「WAN」を日本語に訳すと「広域通信網」となります。つまり、WANは物理的に離れた地域にあるLAN同士を結びつける、広範囲にわたるネットワークです。WANは複数の都市や国をまたいで通信が可能であり、インターネットはその代表例といえます。
WANは距離に制約が少なく、大規模なネットワークを構築するために使用されます。一方、LANは特定の領域に閉じたネットワークでその中では高速通信が可能です。
「ネットワーク」とは何なのか
「ネットワーク」とは、複数のコンピュータや通信機器が相互に接続され、情報をやり取りする仕組みを指します。英語の「network」はもともと「網」や「網目」を意味し、そこから転じて、コンピュータ同士が繋がりデータを共有する様子を網目状の構造に例えた表現として使われています。このように、コンピュータネットワークは、機器同士が連携して情報を効率的に交換できるシステムです。
「Wi-Fi」とは?「無線LAN」との違い
パソコンやスマートフォンをネットワークに接続する際、現在では主にWi-Fiや無線LANが使用されています。一般的には「Wi-Fi」と「無線LAN」は現在では同じ意味の言葉として使われることが多いですが、元来の定義は少し異なります。
無線LANとは?
無線LANとは、LANケーブルを使用せずに無線でインターネットに接続する仕組みを指します。無線LANでは、情報のやり取りが電波を使った通信によって行われます。従来の有線LANでは、LANケーブルを使用してルーターやスイッチなどのネットワーク機器とコンピュータを接続し、ケーブルを通る電気信号で通信を行っていました。それに対して、無線LANはLANケーブルの代わりに電波を媒介として通信を行うため、ケーブルが不要で柔軟な接続が可能です。
Wi-Fiとは?
Wi-Fiは無線LANの1つの規格のことです。したがって、無線LANはWi-Fiよりも広い意味を含む単語で、Wi-Fiは無線LANの国際標準規格に付けられたブランド名のような位置づけです。
具体的には、「IEEE (アイトリプルイー)802.11」という無線LANの統一規格の別称が「Wi-Fi」です。
Wi-Fiの本来の意味は、「Wi-Fi Alliance」という団体が定める規格を満たした製品に付与される認定のことです。「IEEE 802.11」はこのWi-Fi認証を受けた通信規格であり、この規格に準拠した製品が一般に「Wi-Fi」として呼ばれています。 なお、Wi-Fiは実際には特定の意味を持つ略語ではありません。一般的に考えられているような「Wireless Fidelity」の略称ではないのです。Wi-Fiは、マーケティング会社のインターブランドが作った造語です。「IEEE 802.11」という無機質な規格名よりも覚えやすくてキャッチ―な名前として「Wi-Fi」が選ばれました。
「Wi-Fi」と「無線LAN」の違い
Wi-Fiとは、無線通信の一つの規格を指すものであり、元々はブランドや商標のような位置づけです。
無線LANとは、無線通信で構築された具体的なネットワークを指すものです。 なお、Wi-Fi以外の無線LAN通信規格としては、Bluetoothが良く知られています。BluetoothはWi-Fiと違い1対1の通信に特化している無線通信規格です。Bluetoothを使う際はホストと呼ばれる親機と、子機が必要です。ペアリングを行うことで通信が可能になります。ただし、複数台の接続ができないという接続台数の制限があります。
Wi-Fiのメリット・デメリットとは
Wi-Fiによる無線LAN接続は便利ですが、電波を使用することによるリスクもあります。ここでは、Wi-Fiのメリットとデメリットについて説明します。
Wi-Fiのメリット
Wi-Fiは最新の通信技術であり、多くのメリットがあるため広く普及しています。近年の工場のIoT化にもWi-Fiの技術が利用されています。
ケーブルがないのでどこでも使える
Wi-Fiは電波を利用した無線通信であり、ケーブルを使用する必要がないのでどこでも使えます。ネットワークに接続したまま移動することも可能です。電波が届く範囲内であれば、どこでも使用できるため、ネットワークの物理的な設計が比較的自由になります。現在では、多くのプリンターもWi-Fiを標準搭載しています。無線LAN(Wi-Fi)でプリンターを接続すると、どこからでも印刷ができます。
配線工事が必要ない
また、Wi-Fiは配線工事が不要で、手軽にネットワークを構築できる点が大きな利点です。これに対して、有線LANの場合、通信機器やコンピュータをLANケーブルで接続するために配線工事が必要になります。LANケーブルを無造作に床に這わせると見栄えが悪く、つまずきなどの事故やトラブルの原因にもなります。そのため、床下や天井の配管、モールを通して配線を整理する必要があり、手間やコストがかかります。Wi-Fiを利用することで、こうした配線の煩わしさを解消し、より快適な環境を整えることができます。
スマートフォンの通信料を節約できる
Wi-Fiを利用することで、スマートフォンの通信料を効果的に節約できます。Wi-Fi経由でのインターネット接続により、スマートフォンのキャリアのネットワークを使用する必要がなくなるため、データ通信量を削減できます。特に、動画のストリーミングや大容量のファイルのダウンロードなど、データを多く消費するアクティビティを行う際には、Wi-Fiを利用することで通信料の節約が期待できます。
Wi-Fiのデメリット
セキュリティ上のリスクがある
Wi-Fiにはセキュリティ面においていくつかの重要なリスクが存在します。Wi-Fiは電波を使用して通信を行うため、適切なパスワードの設定や暗号化が施されていない場合、第三者に通信内容を傍受される危険があります。これにより、ログイン情報の盗難、メール内容の盗み見、機密情報の漏洩など、さまざまな問題が発生する可能性があります。 さらに、正規のアクセスポイントに見せかけた不正なアクセスポイントが設置されていることもあります。このようなアクセスポイントに利用者が接続してしまうと、個人情報の窃取やマルウェアの感染といった深刻な被害が生じる恐れがあります。そのため、Wi-Fiを利用する際は、暗号化の確認や信頼できるネットワークへの接続を心掛けることが重要です。また、セキュリティ対策としてVPNを利用することも推奨されます。
接続が不安定になることがある
Wi-Fiのデメリットの一つに、接続が不安定になる場合があることが挙げられます。Wi-Fi信号は、金属やコンクリートなどの障害物によって減衰する特徴があるため、ルーターが壁や家具に遮られると信号が弱まり、接続が不安定になることがあります。
また、Wi-Fiルーターからの距離が遠くなると、信号強度が低下し、接続が切れたり、通信速度が遅くなったりすることもあります。これらの要因により、特に広いスペースや複雑な間取りの場所では、Wi-Fiの性能が十分に発揮されないことがあります。また、電子レンジなどの電磁波を出す家電の影響を受けることもあります。 その対処法としては、ルーターの位置や環境に注意を払い、必要に応じて中継器やメッシュネットワークを導入することを検討しましょう。
有線LANと無線LAN(Wi-Fi)はどちらを使うべき?
大きなデータの利用やセキュリティ重視なら有線LAN
有線LANは、回線が途切れにくく、通信速度や通信品質が非常に安定しています。そのため、データの転送が必要な作業や、ビデオ会議、テレビの接続、ゲーム機をつないでオンラインゲームをする場合など、安定した接続が求められる状況に特に適しています。
持ち運びしないデスクトップ型のパソコンに加え、オフィス環境や家庭での固定機器に使用することもおすすめです。また、ネットワークのセキュリティ面でも、無線LANに比べて優れているため、機密情報を扱う業務などにも適しています。さらに、有線LANは、通信の遅延が少ないため、ストリーミングや大容量データのダウンロード・アップロードを行う際にも快適な体験が得られます。
複数端末やどこでもネットを使いたい場合は無線LAN(Wi-Fi)
スマートフォンやタブレット、ノートパソコンを使用している場合は、無線LAN(Wi-Fi)がおすすめです。Wi-Fiの電波が届く範囲内であれば、どこでもインターネットに接続できるため、自由な移動が可能になります。
カフェや公共の場、家庭内など、様々な環境で手軽にインターネットを利用できるのが大きな利点です。さらに、Wi-Fi接続ではケーブルが不要なため、デバイスの設置や使い方が非常に柔軟になります。例えば、家事をしながらタブレットで動画を視聴したり、外出先でスマートフォンを使って仕事をしたりといったことが簡単に実現できます。ただし、安全性を確保するために、信頼できるネットワークへの接続や、VPNの利用を心がけることが重要です。
Wi-Fiや無線LAN設置に必要なもの
インターネット回線
Wi-Fiや無線LANを設置するには、まず自宅や会社にインターネット回線(多くの場合は光ファイバーを利用した光回線)を引くことが必要です。この回線がWi-Fiシステムの基盤となり、Wi-Fiルーターを介して無線でインターネットを利用できるようになります。
したがって、Wi-Fi環境を整える際は、まず適切なインターネット回線を選択し、契約する必要があります。インターネット回線サービスは光回線が一般的です。代表的なサービスとしては、auのau光、ドコモのドコモ光、SONY系列のNURO光などがあります。
Wi-Fiルーター
Wi-Fiルーターは無線LAN(Wi-Fi)を利用してインターネットに接続するための機器です。インターネット回線からの信号を無線信号に変換し、複数のデバイス(スマートフォン、パソコン、タブレットなど)に配信します。
Wi-Fiルーターはプロバイダーや回線業者がレンタルしていることもあります。Wi-Fiルーターは対応している規格が新しいものほど、通信速度が速くなっています。たとえば、最新の「Wi-Fi 6E」では、理論上の最大通信速度が9.6Gbpsとなっています。
Wi-Fiルーターにあると便利な機能としては、ビームフォーミングやバンドステアリングがあります。ビームフォーミングは、特定の方向に向けて強い電波を送信する技術です。これにより、受信側の通信機器はより強い信号を受けることができ、通信品質が向上します。バンドステアリングは、複数の周波数帯(例えば、2.4GHzと5GHz)を自動で切り替える機能です。これにより、通信機器は最適な周波数帯を選択し、通信速度や品質を最適化します。
無線LAN(Wi-Fi)はi必要な場面に合わせて使い分けよう
便利な無線LAN(Wi-Fi)は一般的に広く使われていることはご理解いただけたかと思います。
しかし、リスクなどを正確に理解している方も限られていますので、どうしてもセキュリティ面や安定性など脆弱な部分もでてきてしまいます。
オフィスなどでは有線接続と無線両方を使えるほうが望ましいでしょう。もし、適切なネットワーク機器が選定できない、どのような構成にすればいいのかわからないという場合など。 適切なネットワーク構築はぜひオフィス内IT業務の専門家「ITボランチ」へご相談ください。