パスワード、どのように管理していますか?
Excelで一覧にしている、紙のメモに書いている、ブラウザに保存している……。
企業の現場では、さまざまな方法が使われています。
近年はクラウドサービスやWebサービスの利用が増え、1人あたりが管理するアカウント数も増加しています。その結果、「どこに何を保存したかわからない」「同じパスワードを使い回している」というケースも少なくありません。
しかし、パスワード管理をなんとなく続けていると、情報漏えいや不正アクセスといった大きなリスクにつながる可能性があります。
この記事では、初心者の企業担当者の方にもわかりやすく、
- なぜパスワード管理が重要なのか
- どんな管理方法があるのか
- 企業としてどんな対策を取るべきか
を、基本から解説します。
Contents
なぜパスワード管理が重要なのか?
パスワードは、企業のデータやシステムを守る「鍵」のようなものです。
メール、クラウドストレージ、会計ソフト、給与システム、顧客管理ツール……
これらすべてがパスワードによって守られています。
もしその鍵が第三者に知られてしまったら、どうなるでしょうか。
パスワード漏えいで起こるリスク
パスワードが漏えいすると、次のような被害が発生する可能性があります。
不正ログインによるデータ改ざん・削除
攻撃者がアカウントにログインし、データを書き換えたり削除したりするケースがあります。
業務が停止するだけでなく、復旧に時間とコストがかかります。
個人情報・機密情報の流出
顧客情報や従業員の個人情報、クレジットカード情報などが流出すると、企業としての責任問題に発展します。
情報漏えいが発覚すれば、謝罪対応や報告義務、再発防止策の構築など、大きな負担が発生します。
信用の低下
一度「セキュリティが甘い会社」という印象がつくと、取引先や顧客からの信頼を回復するのは簡単ではありません。
実際に、パスワード管理の甘さが原因で情報漏えいが発生した事例も少なくありません。
サイバー攻撃は年々増加している
「うちは小規模だから大丈夫」と思っていないでしょうか。
近年は、企業規模に関係なくサイバー攻撃の対象になります。
特に中小企業は、セキュリティ対策が不十分と見なされ、狙われやすい傾向があります。
代表的な攻撃の一つが「パスワードリスト攻撃」です。
これは、他のサービスから流出したID・パスワードの組み合わせを使って、別のWebサービスに不正ログインを試みる攻撃です。
同じパスワードを複数のサービスで使い回していると、一つ漏れただけで被害が拡大する可能性があります。
また、フィッシングメールや偽サイトを通じてパスワードを入力させる手口も増えています。
パスワード管理は、単なる「メモの問題」ではありません。
企業の情報セキュリティ対策の基本であり、被害を防止するための重要な取り組みなのです。
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危険なパスワードの特徴とは?
パスワードは「覚えやすさ」を優先して作られがちです。
しかし、覚えやすい=推測されやすい、という側面もあります。
ここでは、企業で特に注意したいNG例と、安全なパスワードの基本を整理します。
よくあるNG例
実際によく使われている、危険性の高いパスワードには次のような特徴があります。
「password」「123456」など単純な文字列
もっとも典型的な例です。攻撃者はこうした単語や数字の並びを最初に試します。
会社名+数字
例:company1203、abc2024 など
一見オリジナルに見えても、企業名や設立日などの日付は外部から簡単に推測できます。
特にWebサイトに社名が公開されている場合、危険性は高まります。
名前や誕生日
社員の名前、管理者の誕生日、電話番号なども避けるべきです。
SNSや公開情報から推測される可能性があります。
同じパスワードの使い回し
もっともリスクが高いのが「使い回し」です。
たとえば、あるWebサービスからID・パスワードが流出した場合、攻撃者はその組み合わせを他のサービスでも試します。これを「パスワードリスト攻撃」と呼びます。
1つ漏れただけで、メール・クラウド・会計システムなどに連鎖的に不正アクセスされる可能性があります。
安全なパスワードの基本とは?
では、安全性の高いパスワードとはどのようなものでしょうか。基本となるポイントを押さえておきましょう。
文字数は12文字以上
文字数が長いほど、推測や総当たり攻撃に強くなります。可能であれば16文字以上が理想です。
大文字・小文字・数字・記号の組み合わせ
英語のアルファベット(大文字・小文字)、数字、記号を組み合わせることで、パターンが複雑になり安全性が高まります。
例:
× abc123
〇 A9f!k3Lm@2q
推測されにくいランダムな文字列
単語の並びや意味のある文字列は推測されやすいため、できるだけランダムな文字列にするのが安全です。
「覚えやすさ」よりも「推測されにくさ」を優先することが重要です。
できれば自動生成を活用
人が考えるパスワードにはどうしてもパターンが出ます。
そのため、パスワードマネージャーなどの管理ツールにある「自動生成機能」を活用するのがおすすめです。
ランダムで強固なパスワードを簡単に作成でき、安全性を大きく高めることができます。
パスワード管理、みんなどうしてる?主な管理方法
企業では、さまざまな方法でパスワードを管理しています。
「どれが正解」というよりも、それぞれにメリット・デメリットがあります。
ここでは代表的な方法を整理してみましょう。
紙・手帳・ノートにメモ
もっともアナログな方法です。
特に、デスクの引き出しや付箋にメモを残す運用は、第三者に見られる危険性があります。
担当者が退職した際に、どこに何が書いてあるかわからなくなるケースもあります。
メリット
- インターネットにつながらないため、ハッキングのリスクは低い
- 導入コストがかからない
- 操作が不要でシンプル
デメリット
- 紛失や盗難のリスク
- 他人に見られる可能性
- 更新や検索が不便
- 共有が難しい
Excelやファイルで管理
PC上でExcelやテキストファイルに一覧化して管理する方法です。
中小企業では比較的多く見られます。
ファイル自体にパスワードを設定していても、管理が甘いと情報漏えいにつながる可能性があります。
メリット
- 一覧で管理しやすい
- 社内で共有しやすい
- 追加・修正が簡単
デメリット
- ファイル流出時のリスクが大きい
- 暗号化されていないケースが多い
- 誰がアクセスしたか分かりにくい
- PC紛失時に危険性が高い
ブラウザ保存(Chrome・Edgeなど)
Google ChromeやMicrosoft Edgeなどのブラウザには、パスワードの保存・自動入力機能があります。
個人利用には便利ですが、企業全体の管理体制としてはやや不十分な場合があります。
メリット
- 自動入力で便利
- パスワードを覚える必要がない
- 操作が簡単
デメリット
- 共有PCでは不向き
- 端末が不正アクセスを受けた場合に危険
- 管理者による一括管理が難しい
パスワードマネージャー(専用ツール)
専用のパスワード管理ツール(パスワードマネージャー)を導入する方法です。
主な機能として、
- 強固な暗号化保存
- 自動生成
- 自動入力
- スマホやPCとの同期
- 共有機能
- 多要素認証対応
などがあります。
複数のアカウントを安全に管理できるため、近年は企業での導入も増えています。
企業におすすめなのはどの方法?
結論から言えば、企業としては専用のパスワード管理ツールの導入がもっとも安全性が高い方法といえます。
専用のパスワード管理ツールが安全
その理由は、次のような点にあります。
- データが暗号化されて保存される
- 管理者がアクセス権限を設定できる
- 誰がいつアクセスしたかログで確認できる
- 多要素認証と組み合わせられる
- パスワードの自動生成で安全性を確保できる
Excelやメモと違い、「運用の属人化」を防ぎやすいのも大きなメリットです。
担当者が変わっても、管理体制を維持しやすくなります。
無料と有料の違い
パスワード管理ツールには、無料版と有料版があります。
小規模企業でも、社員数が増えてくると無料版では管理が難しくなるケースがあります。
「どこまで管理したいか」「誰が責任を持つか」を考え、自社に合ったプランを検討することが重要です。
無料版の特徴
- 個人向けが中心
- 管理機能が限定的
- サポートがない場合が多い
有料版(企業向け)の特徴
- 管理者機能あり
- 社員ごとのアクセス制御
- 共有機能
- ログ管理
- サポート対応
「なんとなく管理」から卒業しよう
パスワードは、企業の情報資産を守る「鍵」です。
メール、クラウドサービス、会計システム、顧客管理ツールなど、日々の業務はすべてIDとパスワードによって守られています。
パスワード管理は小さな問題のように見えて、情報漏えい、不正アクセス、業務停止といった大きなリスクにつながる可能性があります。
大切なのは、便利さと安全性のバランスを取ることです。
- 強固なパスワードを設定する
- 使い回しをやめる
- 専用ツールを活用する
- 多要素認証を導入する
こうした基本的な対策を積み重ねるだけでも、セキュリティレベルは大きく向上します。
とはいえ、
「どこまで対策すればいいのか分からない」
「今の運用が安全なのか判断できない」
と感じることもあるでしょう。
その場合は、無理に社内だけで抱え込まず、専門家の意見を取り入れることも一つの選択肢です。
パスワード管理は、特別なことではなく、企業の情報セキュリティの“基本”です。
まずは現状を見直し、「なんとなく」から一歩進んだ管理体制を目指してみましょう。














