「EOL」や「EOS」という言葉を耳にしたことがありますか?日本語で言えばサービス提供終了、販売終了のことですが、企業のIT機器やソフトウェアは常にこの製品ライフサイクルにさらされています。
身近なところですとIEのEOLが実行されましたが、Windows10が2025年10月にサポート終了、他にもWindows Server 2012の延長サポート終了が2023年10月と迫ってきています。
このような場合、OSの上に設置されているソフトウェアや、自社で構築したシステムや基幹システムなどがあるため簡単には新しいものに以降することができません。そのためサポートが切れてしまったソフトウェアを使い続けるといったことをしている企業も多いのですが、そこには多くのリスクが潜んでいます。
この記事ではEOLとはどのような意味なのか、EOSとの違い、サービス終了への対策方法などについて解説します。
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EOLとは?
EOLとは「End Of Life」の略であり、人間ではなく製品のライフサイクル終了を表しています。
- 保守サポート打ち切り
- 代替部品の供給終了
- 新OSへの未対応
といった問題で、IT関連の製品が使えなくなってしまう事例はよくあります。こういった製品が使えなくなる状況をEOLと呼び、メーカーが新規デバイスへの買い替えなどを利用者へ通達するタイミングとなっているのもポイントです。
EOLが期間として設定されているのは、
- 経年劣化などによって買い替えるべきタイミングをメーカーが提示するため
- 新技術へ既存製品では付いていけなくなったため
といったように、さまざまな理由があります。
利用者としてはEOLになる、あるいはなった要因を突き止めて、対策を行うことが重要です。そして対策は、メーカーの意向通りに機器買い替えを行うだけではない点も覚えておきましょう。
EOLになるとどうなってしまうのか?
EOLになっても販売期間等が終了しただけであり、製品自体は継続して利用できます。ただし次のようなデメリットがあるのでおすすめはできません。
- サポートが受けられなくなる
- 修理対応などができなくなる
- アップデートやセキュリティパッチが提供されない
まずEOLになった時点で、公式のトラブルサポートなどが打ち切られます。これによってシステムが停止したり機器のランプがおかしくなったりしても、対応がされずそのままになってしまうのがデメリットです。
また当然修理対応もできなくなります。ということで一度既存製品が壊れたら、買い替え等を行わざるを得ません。万が一修理対応できても公式対象外ということで高額な請求が発生する可能性もあります。
さらにソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチなども更新されません。IE終了に伴いアップデートやセキュリティ更新が受けられなくなり、一気にIEが使いにくくなった事例を想定すれば分かりやすいのではないでしょうか。
EOLを過ぎても使い続けるとどうなる?
仮にEOLを過ぎても使い続けてしまうと、製品トラブルに伴い
- システム停止で事業全部が稼働しなくしてしまう
- セキュリティリスクを突かれて被害が出る
- 規約違反になる恐れもある
といったデメリットが発生します。
もしEOLになった製品が中核システムの場合、停止に伴い全事業が稼働しなくなり損害が発生します。またセキュリティリスクを突かれてハッキングなどの被害が出る可能性もあるでしょう。パッチ更新されていない製品はハッキングするのが簡単です。
さらに会社の一般通例として、EOL済製品を使うことが違反と判断されて信頼性がなくなる恐れもあります。はっきりセキュリティ対策を行っていることを公表できるように、EOL製品を継続利用せずに対策を行うことがおすすめです。
EOSやEOSLとは?
EOLに似た言葉に、EOSやEOSLがあります。ここではその違いについてそれぞれ解説していきます。
EOSとは
EOSは「End Of Sales」、つまり「販売終了」を指しています。対象の製品販売が、公式から終了となるまでの期間がEOSです。
EOSによって販売が終了してしまい製品が購入できなくなっても、サポート自体はしばらく続きます。このサポート期間までが終了すると、一般的にはEOLと判断されて実質的に製品がまったく使えない状態になってしまいます。
このようにEOSは、一般的にEOLの前段階として存在するのを覚えておきましょう。
ちなみにEOSが「End Of Support」と訳される事例もあります。こちらの場合「製品サポート終了」の意味になりEOLと似たような意味になるので、もしニュアンスが分からない場合はメーカーへ問い合わせを行ってみるとよいでしょう。
EOSLとは
EOSLとは「End Of Service Life」、つまり「サービスのサポート等が終了するまでの期間」を表現する言葉です。EOSLが過ぎるとすべてのサポート等が終了してサービスが実質的に使えなくなります。
EOSLが満了するとEOLとほぼ同じ状態になります。そこでEOSL=EOLと捉えて、EOLではなく代わりにEOSLを使う事例もあるのがポイントです。
ただしEOLとEOSLを区別する業者も存在します。たとえばハードウェアとソフトウェアを同時提供している場合、まずハードウェアのサポート終了をEOSLとして、両方のサポートが切れたらEOLと判断して記載を行うパターンもあります。
メーカーサポート等を確認する際は、EOSLがEOLと同じように使われているか、そうでないかを判断する必要があるので注意しておきましょう。
EOSとEOLが設定される理由とは?
先ほども触れましたが、製品の販売・サービス全面終了には段階があります。
1.公式から製品の提供終了が発表される
2.スケジュールに基づきまずはEOSが行われる
3.最後にEOSL、EOLが行われて完全に使えなくなる
製品販売期間がEOSによって終了して利用者が限定された後に、順次EOSLやEOLを実行するのがスケジュールとして一般的です。ということで製品販売終了時は、基本的にEOSとEOSL、あるいはEOLが同時記載されるパターンが多いことを覚えておいてください。
EOLになってサービス終了する前に備えておくべきポイント
EOLが満了になる前に、利用者が以下の点を確認しておく必要があります。
- 自社のハードウェアやソフトウェアを把握しているかチェックする
- EOLを迎えた際にどうするか検討ができているか
まずは自社のハードウェア・ソフトウェアのEOS、EOLを把握しているかチェックします。この際
- 従業員が無断で使っているツール
- その他管理担当者が把握しきれていないツール
がないか確認しておきましょう。
現状管理が難しい場合は、社内で起動しているツールを自動チェック・管理できるツールを導入しておいてください。
またEOLが来た際に対応策が前もって決まっているかもポイントです。EOL後の影響は利用ツールや使い方・適用範囲などに応じて変わりますが、ある程度スケジュール面での余裕がないと正しい対応ができません。これから代表的な対応手段をご紹介するので、対策を立てる際に参考にしてみてください。
サービス終了したらどうする?EOL対策の手段を解説
ここからはEOL対策の手段事例をご紹介していきます。
代替製品による現状維持
既存製品がEOLになっても、それを代替するシステム・機能を持っている製品は少なからず存在します。100%互換というわけにはいかないでしょうが、まったく機能等が違うシステムを導入して適用するよりは現場での抵抗も少ないです。
そこで代替製品をEOL終了製品とリプレイスして適用する現状維持、という方法が有効になってきます。この方法は
- EOL製品のメーカーがおすすめしている代替製品がある
- 既存製品である程度の業務効率性が確保されていた
- 既存体制のままでも将来的なデジタル対応等には問題ない
といった判断ができる際に有効な方法です。
新製品などへの移管
特にサーバーといったハードウェアは、今問題がなくても経年劣化で急に使えなくなるリスクがあります。またスペック自体もスマートフォンのRAMが2GB→4GB、8GB以上になるのが当たり前になったように、数年の経過で最新ハードウェアと大きく差が出て業務に支障が出ている可能性があります。
そこで思い切って、スペックの高い新製品を導入・移管する方法もあるのがポイントです。これによってソフトウェア等で対応が必要でも、移管後は従来以上の業務効率性を確保できるでしょう。AIの活用等も視野に入ってきている現代ビジネスでは、それに対応しうるハードウェアのスペック確保が重要です。
構成自体の見直し
新製品の単純な購入だけでは不足する場合は、さらに思い切って既存ビジネス体制を構築し直す必要性も出てきます。再構築によって、今まで4工程が必要だった部分が3工程のみになるといった大幅な改革を実行可能です。
たとえばオンプレミス→クラウドへ体制変更するのが代表事例です。クラウド化によって保守・運用の手間がなくなるので楽になりますし、最新技術への対応も提供企業が行ってくれるので安心です。その代わりシステムが停止した際に自社で対応しにくい、サービスが急に終了するリスクがある点などを理解しておきましょう。
第三者保守
「既存製品をEOL後も使い続けたい」という意志が大きく、またそれによるメリットも大きい場合はサードプレイスの業者からサポートを受ける方法もあります。ただし検討時は、依頼予定御者とも綿密に連絡して問題が出ないか確認する必要があるでしょう。
第三者保守サービスを提供している企業では、
- 対応外になった製品の修理等に対応してくれる
- 緊急トラブル時にも対応が可能
などのメリットで利用者をサポートします。
リプレイスの完了期間が思ったより長引きそう、といった場合のつなぎ役としても活躍してくれるので、検討してみてください。
EOL以前に確認すべきポイント
EOLを行う前に次のポイントを確認しておいてください。
- 既存機器の機能が踏襲できているのか
- ハードウェアやソフトウェアが導入予定製品へ対応しているか
- 余裕がある対応期間になっているか
EOL予定・済の製品で利用できていた基本機能が、リプレイス後にも踏襲して代替製品で使えるか確認しておきましょう。ツール連携や実行環境の状況などでは、代替製品の機能が一部使えない恐れもあります。
また他のハードウェア・ソフトウェアが導入予定の製品へ対応して連携できるかも事前確認してみましょう。特に連携したいツールに自社開発の製品があると検証が難しくなるので、手間を多少掛けてでも確認を行ってみてください。
さらに設計や構築・移行完了までの期間が余裕を持って用意できているか確認しておいてください。休日を選んで被害を最小限にするだけでなく、トラブル込みで対応できる余裕があるかも確認しておきましょう。
まとめ
EOLになったからと言ってベンダーの提案通り、高い新製品に切り替えることはありません。
自社のIT環境でEOLを迎えるものを正確に把握し、対応を検討しておくことが大切です。対応方法にはどのような手段があるかを理解しておくことで、オーバースペックな機器を購入するというようなこともなくなります。
また製品を購入する際にも、EOLを意識しておくことは重要です。サービス提供期間が長ければそれだけリプレイスまでの時間を確保できますから、長期で考えればコストメリットが発生するケースもあります。
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