2021年年から起こっていて2022年になっても半導体不足の状況が続いています。
テレワーク導入を検討している最中、半導体不足を理由としてノートPCが調達できず、業務に影響が出てしまう企業も多かったのではないでしょうか。
半導体は
- パソコン
- スマートフォン
- ゲーム機
- 家電
- 自動車
などの電子機器に使われており、電子機器が組み込まれている製品には必ずと行っていいほど半導体は使用されています。
現在はその半導体の製造・流通に影響が出続けており、半導体を使用している電子機器の製造も正常に進んでいない状況に陥っています。しかし、半導体の不足は製造が遅れているだけの単純な理由ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生していて解消に至るには時間がかかると言われています。
メディアでも今年後半には解消されるのではないか、年内は解消されないと様々な意見が飛び交っており、どれが真実かは不透明になってしまっています。
では、今回なぜこれほどまでに半導体不足が長期化していて、世界中で起こっているのか疑問に思う人も多いかと思います。
誰もが真っ先に思い浮かべるのは、新型コロナウィルスの影響で製造ラインが止まる、又は生産量が減少するといった理由だと想像していませんか?
実は、コロナ禍の影響もあるのですが、他にも多くの要因が絡んでいるんです。
半導体不足の今後の見通しにも触れながら詳しく解説していきます。
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Contents
そもそも半導体とは?種類も覚えておこう
半導体とは半分電気を通す物質、つまり「条件によって通電する、通電しないが分かれる物質」を指します。
- 導体:常に電気を通す物質
- 絶縁体:常に電気を遮断する物質
の中間の性質を持つため半導体と呼ばれているのがポイントです。
- 圧力
- 温度
- 不純物
といった要素で通電するかしないかが変わってきます。
そのため意図的に電気を通す、通さないを選択しながら電流を制御するために使われています。つまり電気で動いている製品には、基本的に半導体が必要です。
また半導体の大きさや集積(複数の部品を1つにまとめて搭載する)のレベルが高いほど、製品の小型化へつながります。また
- コスト削減
- 省電力
といったメリットも得られるため、半導体に関係しているメーカーは半導体の研究・開発を行いながら小型化を実現しようと活動を行っているのもポイントです。
半導体の素材は?シリコンなどの元素が主流
半導体の素材はまず「シリコン」が挙げられます。シリコンは加工しやすく供給量を確保しやすいメリットがありますし、耐久性もあるため多くのIT機器に使われているのがポイントです。半導体を必要としない製品にも多く使われているため、一般の方でもなじみがある素材になっています。
他にも
- ゲルマニウム
- アルミニウムガリウムヒ素
といった素材が半導体には使われることがあります。
ちなみに半導体は元素の構成によって
- 単元半導体:1つの元素で構成されている
- 化合物半導体:複数の元素で構成されている
といった種類に分かれる点もポイントです。
半導体の種類は?ICと非ICで区別しよう
半導体には
- IC:複数の部品をシリコンチップへまとめたもの
- 非IC:部品がまとめられておらず単体で用意されているもの
という種類があります。
ICの代表例は
- メモリ:データを一時的に保存したりする
- ロジック:専門性の高い処理を実施
- マイクロ:演算などを行う
- アナログ:アナログ信号を変換したりする
です。パソコンのメモリ(RAM)や画像処理装置(GPU)などがICに分類できます。
また非ICの代表例は
- オプトエレクトロニクス:光を発したりして変換などを行う
- センサー:外界の温度や動き、光などを検知する
です。LEDやIoT用センサーなどが非ICの代表例となります。
半導体のシェアはどうなっているのか?
半導体の部品別のシェアは、世界半導体市場統計(WSTS)によると
- メモリ:30%
- ロジック:29%
- マイクロ:13%
- アナログ:11%
となっています。
また半導体の生産シェアを国・地域別に確認していくと、アメリカの調査会社「ICインサイツ」発表で
- アメリカ:55%
- 韓国:21%
- ヨーロッパ:6%
- 日本:6%
- 中国:5%
となっているのもポイントです。
アメリカについては「シリコンバレー」といったワードも有名なことから、半導体製造が活発なのを想像できる方は多いでしょう。またアジア圏でITが急速に発達していることから、日本や中国でも半導体製造は活発に行われています。
日本では
- キオクシア
- ソニーセミコンダクタソリューションズ
- 富士電機
といったメーカーが半導体を製造しています。
なぜ半導体の需要が高まっているのか?要因はITの発達などにあり
半導体の需要拡大は、IT業界の発展と大きく関係性があります。
- IoT
- 5G
といった最新技術の利活用には、半導体が欠かせません。パソコンやスマートフォン、IoT機器といった技術を使うために必要な製品は半導体を搭載しているからです。
またビジネスにおいては、IT機器が実質必要不可欠な社会になりました。世界各国でビジネスにおけるITが発達するとともに、それに比例しながら半導体の需要も増えているのがポイントです。
日本では
- DX(デジタル改革)の推進
- スマートフォンのシェア拡大
- IoT化に伴うセンサーなどの必要性上昇
といった要因で半導体の必要性が増しています。
半導体不足になっている原因とは?コロナ禍以外の要因もある
現在世界が半導体不足に見舞われているのは、需要増加以外にも次のような要因があるからです。
コロナ禍による生産体制のひっぱく
半導体不足の大きな要因として、コロナ禍は外せません。2020年度以降から新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、新種も登場したりとはっきりした収束のめどが立っていません。
半導体の製造は、テレワークで代用することはできません。なぜなら、いわゆるブルーカラー(製造関係)の業務は物理的に製品を製造するのが特徴であり、直接スタッフが工場などへ赴いて作業をしないと回らないからです。製造自動化の波は進んでいますが、人の手が必要な部分はまだ多くあります。
しかしコロナ禍による感染防止対策のため、コロナ禍以前のようにスタッフを確保して製造を回す体制を作るのが難しくなっています。防止対策を行った上で生産を再開するところが増加しているものの、元の水準とはいかず生産体制が安定していないのは問題です。
また、製造した半導体を輸送する手段もコロナ禍により限られていたり、制限があったりとリードタイムが非常に長くかかってしまっています。
中には輸出コンテナの整備が人手不足により港に置いたままになっていたり、輸送コストが急上昇しているため、出荷を見合わせたりと、物流が正常に機能することが難しい状況になっているのです。
供給を特定地域に頼っている
先ほど説明したように、半導体の製造はアメリカや韓国など特定の国・地域へ頼っています。つまり特定の国・地域の製造体制がひっぱくすると、直接世界中の半導体不足へつながってしまう体制自体も問題です。
ちなみに半導体を主に製造しているエリアでは
- 設備の老朽化
- 輸出入に関する制裁
- 新型コロナウイルス以外の災害発生
といった設備面・政治面などでの問題も発生しており、半導体不足に拍車をかけているのもポイントです。
テレワークの拡大
現在ではホワイトカラー(事務・サービス関係)の業務を中心に、テレワークを行う企業が増加しています。テレワークによって企業としては
- 働き方の多様性確保
- オフィスコストなどの削減
といった感染防止以外のメリットまで受けられますが、実施にはITインフラが必要です。
ITインフラに半導体が搭載されていないケースはまずありませんし、半導体が供給されないと製造はできません。テレワークの需要拡大に伴って半導体不足も大きな問題となっています。
自動車市場の供給ひっ迫
自動車業界需要の見誤りも、半導体不足の原因となっています。
コロナ禍の発生当初は、各自動車関連企業が需要低下を予測して半導体の仕入れ量を下げました。しかし思ったよりも早く自動車関連の需要が回復したため、各企業は体制見直しを迫られています。
また半導体メーカーがパソコンといったIT関連に生産体制をシフトさせていたのも、自動車業界半導体不足の要因となりました。すぐに体制を自動車向けに変更することはできません。バランスよく各業界の半導体を供給できるようになるまでにもう少し時間が掛かりそうです。
中小企業でも半導体不足の影響が表れている!具体的な事例を解説
中小企業でも、
- ビジネス機器の価格上昇
- 機器の調達難航
といった点で半導体不足の影響が出ています。
まずビジネス機器の価格上昇に関しては、半導体不足に対して供給が追い付いていないことから発生しています。仕入量を確保できても半導体自体の価格が上がっているので、他のコストを決める要因を調整しても価格増加を吸収しきれていないのが現状です。富士通といったビジネスITのサービスを提供しているメーカーは、法人向けサーバーを値上げしたりといった苦肉の策を実施しています。
また機器の調達難航は、IT製品の製造スケジュールが後ろ倒しになって遅れていることが要因となっています。新製品を作るにしても半導体の仕入れ待ちになっているケースは多く、必要な分のIT資材を調達できていない企業が出ているのが問題となっているのがポイントです。ちなみに半導体以外の部分を製造したまま、製造完了がお預けになっているケースも増えています。
2022年中に半導体不足が解消する?今後の見通しをご紹介
半導体不足がいつまで続くのかに関しては、いくつか推察するのに有効な情報があります。
まずアメリカでは、世界的な半導体の不足が2022年の下期まで継続すると発表しています。アメリカでは
- 半導体の供給がまだ危機の中にある
- サプライチェーンは脆弱な状態のまま
といった状況であり、アメリカ以外でも状況はあまり変わらないものと思われるのがポイントです。
また日本では大手ITベンダーの決算情報発表によって、半導体不足がさらに拡大しているのが発覚しています。2022年度半ば程度まで影響が長期化するとの見方もあり、各ベンダーは対応を急いでいますが営業利益が減ったりと悪い影響を完全に解消できていない状況です。
ただしアメリカでも日本でも、半導体不足の影響が2023年以降も続くだろうという強い考えは出ていないようです。ニューノーマルな生産体制が定着しつつあるのもあり、2022年度中にある程度半導体不足解消の見立てが立つ可能性は高いでしょう。最新状況をチェックしながらいつ体制が安定するのか理解できるとより安心できます。
まとめ
2021年の春にはすでに半導体不足は始まっており、ビジネスシーンにも多大な影響が出ています。半導体チップの生産が追いつかないことによるリードタイムの遅延により、あらゆる電子機器の生産が止まってしまったり滞っていたりしているのです。
しかし、半導体不足は需要が高まっていることによるものであり、将来的には発展性のある事象だと言えます。短期的な混乱は収まり、成長フェーズが加速することを覚えておきましょう。また直近の記事などでは、2022年後半には目処がたつという予測も数多く出ていますし、需要と供給は必ずバランスが取れる状況になることは間違いないと思われます。
企業としては、当分必要になると予測されるIT機器について需要予測を前倒ししておくことが重要です。また、予備機などの手配も大切です。
コロナ禍の影響により、製造ラインは減産し、テレワーク導入に伴ったIT機器の需要増など、多くの課題が浮き彫りになっている現状、日々の生活、ビジネスにどれほどIT機器が浸透しているのかを嫌でも理解することとなりました。中小企業にとっては半導体不足の影響を理由に業務を止めることはできないでしょう。
どうしてもIT機器が必要となってしまってり、現在のネット環境の見直しが必須となった場合、いくつかのベンダーに打診しても半導体不足の影響で入手が困難という返答に、困ってしまっている経営者、情シス、社内SEの人も多いと思います。
希望している機種以外でも代替できる機器がある場合もありますし、その他に目的を達成するための方法があるかもしれません。もし、そのようなお悩みがある場合は、ITボランチにご相談してみませんか?
コロナ禍になってから、テレワーク導入に伴う環境構築、セキュリティ対策、半導体不足の影響を回避するための提案など、多くの経験と実績がございます。また、常に多くのIT機器を取り扱っていることもあり、機器調達には確かな情報網を持っております。
ベンダーやメーカーに調達できないと言われてしまった場合でも、取り急ぎITボランチにご相談ください。
ITボランチは、機器を売ることを業務とは捉えていません。中小企業様の課題やお困り事の解決、どんな些細なことでもITに関連するご相談窓口、安心してIT活用をできる運用保守などをご提供する、お客様のサポートをするサービス業だと捉えています。
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