システムを導入した後も、安定して稼働させ続けるためには「保守」が欠かせません。
しかし、「保守費用って具体的に何に使われているの?」「相場はどれくらいが妥当なの?」と疑問を感じる企業担当者も多いのではないでしょうか。
システム保守には、トラブル対応やセキュリティ対策、バージョンアップなど、見えにくいながらも重要な作業が数多く含まれます。適切な保守を行うことで、業務停止などのリスクを防ぎ、長期的なコスト削減にもつながります。
本記事では、保守費用の基本的な考え方から内訳・相場・削減のポイントまでをわかりやすく解説します。
自社の保守体制を見直したい方や、外部委託を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
保守費用とは?
「保守費用」とは、システムやサーバーを安定して稼働させるために必要な維持・管理コストのことです。
システムは開発して終わりではなく、運用を続ける中で不具合の修正、セキュリティ対策、バージョンアップ対応など、さまざまな作業が発生します。これらを継続的に行うために、一定の保守費用が必要になります。
保守に含まれる主な内容は以下の通りです。
- システムトラブル発生時の復旧対応
- ソフトウェアやOSのアップデート対応
- セキュリティパッチの適用や脆弱性対策
- 定期的なバックアップ・監視業務
- 利用ユーザーからの問い合わせ・サポート対応
これらの保守作業を怠ると、業務停止やデータ損失といった重大なトラブルに発展するリスクがあります。
一方で、適切な保守を行うことで、システムの安定稼働と長期的なコスト削減を実現できます。
企業が継続的に安心してシステムを利用し続けるためには、保守費用は“必要経費”というよりも“将来のリスク回避投資”と考えることが重要です。
保守と運用の違い
「保守」と「運用」は似ているようで、目的も作業内容も異なります。
両者の違いを正しく理解することで、契約範囲や費用見積もりの根拠を明確にできます。
| 区分 | 主な目的 | 主な業務内容 |
| 運用 | システムを日常的に動かし、業務を支援すること | データ登録・ユーザー管理・日次処理・稼働監視 など |
| 保守 | システムを安定稼働させるための維持・修正・更新 | 不具合修正・バージョンアップ・セキュリティ対応 など |
運用は「業務を回すための作業」、保守は「トラブルを防ぎ、正常に使い続けるための作業」と言えます。
実際の契約では「運用保守」とセットで委託するケースが多く、境界が曖昧になりがちです。
たとえば、「ログインできない」といったユーザー対応は運用に含まれることもあれば、システム側の不具合であれば保守対象になることもあります。
そのため、契約時に“どこまで対応してもらえるのか”を明確に定義することが重要です。
システムの安定稼働を支えるためには、運用と保守の両輪をバランスよく整える必要があります。
社内で対応が難しい場合は、情シス代行や保守アウトソーシングサービスを活用することで、安定した体制を構築できるでしょう。
保守費用の内訳
ひと口に「保守費用」と言っても、その内訳は多岐にわたります。
システムの種類や規模、委託範囲によって費用の構成は異なりますが、主に次の4つの要素が中心となります。
ソフトウェア保守
ソフトウェア保守は、システムそのものの維持・更新に関わる作業です。
具体的には、バグの修正、プログラムの改修、OSやミドルウェアのバージョンアップなどが該当します。
特にCMS(コンテンツ管理システム)や業務システムを利用している場合、
脆弱性対策やアップデート対応を怠るとセキュリティリスクが高まるため、定期的な更新が不可欠です。
また、使用中のソフトウェアの保守サポート終了(EOL)に伴う移行対応なども、大きな費用が発生する項目です。
ハードウェア保守
ハードウェア保守とは、サーバー・ネットワーク機器・パソコンなどの物理的な設備を対象とした保守です。 老朽化した機器の点検や部品交換、障害発生時の復旧対応が主な内容となります。
サーバーやストレージ機器の保守契約を締結しておくことで、万一のトラブル時にも迅速な対応が可能になります。
クラウドサーバーを利用している場合は、ベンダー側の保守に含まれるケースもあり、オンプレミス環境と比べると保守コストを抑えられる傾向があります。
サポート/ヘルプデスク対応
ユーザーからの問い合わせ対応やトラブル時の一次対応を行うのが、サポート・ヘルプデスク業務です。
操作方法や設定に関する質問対応、エラーメッセージ発生時の切り分けなどを行い、システム運用をスムーズに進めるためのサポート体制を提供します。
対応範囲(電話・メール・リモート対応の有無)や対応時間(営業時間内のみ/24時間体制)によって、費用は大きく変動します。
セキュリティ・バックアップ・監視
システム運用において、セキュリティ対策とデータ保全は最も重要な要素のひとつです。
ウイルス感染・不正アクセス・情報漏えいを防ぐための脆弱性診断や、データを守るためのバックアップ・監視体制の整備が求められます。
特に近年は、サイバー攻撃の高度化により「監視」「検知」「復旧」の一連の対応をセットで行うケースが増えています。
システムの安定稼働を支えるためには、予防的な保守投資が欠かせません。
保守費用の相場と算出の目安
保守費用の相場は、システムの規模・運用体制・契約内容によって異なりますが、一般的には「システム開発費の10〜20%程度」が年間の目安とされています。
たとえば、開発費が500万円のシステムであれば、年間50〜100万円ほどが保守費用の平均的なレンジです。
クラウドサービスや小規模なWebシステムであれば、月額数万円からスタートするケースもあります。
保守費用が高くなる主な要因
保守コストは、以下のような要因によって増減します。
- システムの規模が大きく、処理量が多い
- 旧バージョンのシステムで、ドキュメントが整備されていない
- カスタマイズ範囲が広く、特定の担当者でないと対応が難しい
- 24時間365日対応など、稼働時間が長い
- セキュリティ要件が厳しく、監視項目が多い
このようなケースでは、緊急対応や専門知識を要する作業が増えるため、人件費や工数がかさみ、保守費用が上がる傾向があります。
費用算出の考え方と適正化のポイント
保守費用を算出する際は、システムの重要度・稼働率・サポート範囲をもとに見積もりを行います。
たとえば、社内の基幹システムのように「停止すると業務全体に影響する」システムは、高い稼働率(稼働保証99.9%など)を維持するため、コストも高めに設定されます。
一方で、あまり使われていないサブシステムや社内向けの小規模ツールなどは、スポット契約や簡易保守に切り替えることで、コスト最適化が可能です。
システムの使用状況やリスクレベルを踏まえたうえで、「必要な保守を、必要な範囲だけ」契約することがコスト削減の第一歩です。
保守費用の検討時に注意すべきポイント
保守費用を検討・見積もりする際には、単に「金額の安さ」だけで判断するのは危険です。
契約内容や対応範囲をしっかり確認しないと、想定外の追加費用や対応遅延が発生するおそれがあります。
以下のポイントを意識して検討しましょう。
1. 契約範囲と対応内容を明確にする
「どこまでが保守対応に含まれるのか」を明確に定義することが重要です。
たとえば、システムトラブル時の調査や、障害復旧対応、アプリ改修などが別料金になるケースもあります。
契約書や見積書の中で、「保守」「運用」「追加開発」などの区分を明確にしておきましょう。
2. SLA(サービスレベル)を確認する
SLAとは「Service Level Agreement(サービス品質保証)」の略で、トラブル発生時の対応時間や復旧目標(RTO/RPO)などを定めた基準です。
「どの程度のスピードで対応してもらえるのか」を確認しておくことで、緊急時にも安心してシステムを運用できます。
3. 担当体制・継続性をチェックする
担当者が頻繁に変わったり、対応履歴が共有されていなかったりすると、トラブル対応の品質が不安定になりがちです。
保守契約を結ぶ際は、体制の安定性・ドキュメント共有の仕組みを確認しましょう。
企業として長期的なサポートを提供できるかどうかも重要な判断材料です。
4. 安さよりも「安定稼働」を重視する
保守の目的は「コスト削減」ではなく「安定したシステム稼働」にあります。
一時的に費用を抑えても、トラブル対応が遅れたり、再発防止策が不十分だったりすれば、結果的に余計なコストや機会損失が発生します。
信頼できるパートナーと長期的に付き合うことが、最もコストパフォーマンスの高い選択です。
保守費用の相談・見直しは「ITボランチ」へ
システム保守は、企業の業務を安定して支える“縁の下の力持ち”のような存在です。
しかし、「担当者が一人しかいない」「運用と保守の境界があいまい」「ベンダー任せで費用が高い」といった課題を抱える中小企業は少なくありません。
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