とうとうInternet Explorer(IE)のサポートが2022年6月16日をもって終了してしまいました。
各自治体や金融機関などの大規模なレガシーアプリケーションなどは移行が間に合わないケースも散見されているようです。
1年前からIEのサポート終了については通知されていましたが、報道では「なんで急に」という記事があり、自治体の対応のスピードに温度差があったことが露見したりと、対応に苦慮されているケースが散見しているようです。
ただしIEモードで起動すれば、IEでしか動作しなかったアプリケーションを継続して利用することができるという救済策があるのはご存知でしょうか?
では、IEモードとは一体どのような仕組みなのでしょうか、その疑問にお応えし詳しくわかり易く解説していきます。また、IEモードはいつまでサポートされるのかについても解説するので理解しておいてください。
中小企業の情シス・社内SEの人は準備ができていなくても焦らずに、移行計画を策定してみてください。この記事が移行準備を進めるお役に立てばと思います。
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2022年6月15日!公表されていた通りにIEサポートが終了
すでに公表されていたIEサポート終了ですが、2022年6月15日に予定通り実行されました。最新のWindowsアップデートが適用されていると、IEを起動しようとするとデフォルトでEdgeが起動する仕様に変更になっています。
※2022年7月7日現在、IEを起動することはできますが、常に警告のメッセージが表示されるようになっていてEdgeへ切り替えることを促されるようになっています。また、IEが使用できたとしても既にサポートは終了していますので、使い続けるということは大きなリスクが伴いますのでご注意ください。
1年近く前から通達されていたIEサポート終了ですが、残念ながら知っていても対応できていなかったという企業・団体が存在しています。日本のレガシーシステムがDXを阻害している現状が、IEのサポート終了への対応に伴い浮き彫りになった形です。
政府関連のシステムも、中央システムに関してはEdgeなどへ対応している状況ですが、地方自治体へ目を向けると決して完全に対応できているわけではありません。(※1) そのため自社が所属している自治体がどれくらいIEサポート終了に対応できているのかもチェックしておきましょう。
参照(※1):「Internet Explorer」サポート終了に自治体「なんで急に」報道 Twitterで「さすがに草」などの声
IEを使い続けると大きなリスクがある!
IEのデスクトップアプリを使い続けると次のようなリスクがあります。
・そもそもIE推奨のサービスが現在ほとんどないので使いにくい
・セキュリティ性が脆弱
・デジタル改革において邪魔となる
IE推奨のサービスは、認知度の高いWebサービスにはまずありません。そもそも対応できていない企業は信頼性が低いと思われるでしょう。EdgeやGoogle Chromeのほうが機能面でも使いやすいのは言うまでもありません。
またセキュリティ性も脆弱であり、サポートが終わるので万が一使えても簡単にハッキングなどが可能です。個人情報の抜き取りなどを考えると使うのは賢明ではありません。
さらにデジタル改革において、柔軟性の低いIEを利用するのは邪魔となります。将来的なWebサービスへの機能追加といったアップデートに、古い仕様のままアップデートされないIEで対応するのには限界があります。
総合的に判断すると、IEをデスクトップアプリとして使うのはデメリットしかありません。
レガシーシステムに対する救済策!IEモードとは
ここからはIEモードについて解説していきます。
IEモードとは
IEモードとはEdgeへ独自搭載されている互換モードです。IEと同じエンジンを使って対象のページを読み込める機能になっています。
いわゆるEdgeやGoogle Chromeなどへ対応していない古いページを読み込むための救済策ですが、IEの機能を完全再現しているわけではありません。しかしIEのデスクトップアプリを使うよりは安全にページを読み込んで使うことはできるでしょう。
ちなみにIEモードではソースコードなどを確認する際に使う開発者ツールは使えない、といった制限があります。また利用を推奨されているわけではないので、どうしてもIEで読み込む必要性がある状況でだけ使うようにしてみてください。
設定から状況を確認!IEモードの使い方とは
Edgeがすぐに利用できる状況であれば、IEモードの利用方法は簡単です。
1.Microsoft Edgeのブラウザの右上にある「…」の三点メニューをクリックする
2.項目から「設定」をクリックする
3.左側から「既定のブラウザー」を選択する
4.「Internet Explorerモードでサイトの再読み込みを許可」の部分で「許可」を選択
5.「再起動ボタン」をクリックしてEdgeを立ち上げ直す
許可選択後Edgeを再起動すると、マウスの右クリックや三点メニューなどから「Internet Explorerモードで読み込む」というメニューが選べるようになります。選択するとInternet
Explorerのエンジンでページが開き直されます。Edgeモードでの読み込み直しもポップアップから1クリックできるので簡単です。
Edgeで表示すると真っ白になる、あるいはデザインが崩れるページの場合はInternet Explorerモードで読み込んでみるとよいかもしれません。使う機会はそう多くないと思いますが、覚えておくとページ読み込みに関するトラブルシューティングの手段としても有効活用できるでしょう。
IEモードの終了期間は2029年を予定
IEモードの終了はMicrosoft公式によると「 IEモードについては下位互換性を有効にして少なくとも 2029年までサポートされます」となっています。具体的な日付は分かりませんが、念のため2028年いっぱいまでは利用できるという風に考えておくと安心です。
ただしIEモードの需要が予想よりも早めに低下した場合、判断によっては早期打ち切りになる可能性もあります。予断を許さない状況ではあるので、対応できていない場合は早急に社内ルールの策定などを行いIE自体から脱却できるようにしておきましょう。
最新情報は
・プレスリリース
・ITメディアの速報
・Microsoft公式ブログ
などで確認できます。
もしIEモードを使う必要性がなければ代替ブラウザーはいろいろある
Webブラウザーにおいて、利用先を1つに絞る必要性はありません。メインの利用ブラウザーを1つに絞りつつ、サブでいくつかブラウザーをインストールしておくと便利です。
複数利用できるブラウザーを用意することで
・メインのWebブラウザーのトラブル時にサブのブラウザーで検索等ができる
・ブラウザー独自の機能を使い分けることができる
といったメリットが得られるでしょう。
ここではEdgeの代替となりうるWebブラウザーをいくつかご紹介していきます。
Google Chrome
GmailやGoogleドライブを使っている方にとっては、すでになくてはならないツールとなっています。
特徴としては
・GmailやGoogleドライブなどと連携して使える
・対応しているWebサービスがトップクラス
・セキュリティ性も盤石
・拡張機能でカスタマイズ可能
といった点が挙げられます。
Google Chromeには1タッチでGmailなどを呼び出せるメニューが用意されており、ブラウザー間でさまざまなGoogleサービスを使い分けながら効率よく仕事をすることが可能です。
しかもGoogle ChromeにはWeb上の対応サービスが多く、Edgeでは対応できないサービスもスムーズに使うことができます。Edgeのベースは以前と違いGoogle Chromeと同じ「Chromium」ですが、完全に読み込みルールが同じわけではないので注意しましょう。
またセキュリティ面で危険が発生した際は、すぐにアップデートできるように注意喚起のメッセージとアップデートメニューが表示されます。こまめに改善が行われているので信用できるWebブラウザーとなっています。
さらに
・SEO調査
・アドブロック
・EC商品価格調査
といったさまざまな用途へ対応した拡張機能が配布されているのもメリットです。
Fire Fox
Mozzilaという団体が開発・提供しており、プライバシーも考えた作りになっているのがFire Foxです。
読み込みスピードやセキュリティの優秀さはもちろんのこと、Google Chromeと同じように拡張機能でカスタマイズすることができます。また気分によって自由にデザイン面を変更することも可能です。
さらにメモリ消費量においてもGoogle Chromeより優れています。Google Chromeの弱点はメモリを多めに消費してしまう点ですが、Fire Foxだと消費量が比較的小さいのでソフトウェアの同時起動などもしやすくなっています。メモリ消費量はPCなどの全体的な速度に影響するので、利用を抑止したほうがほうが安心です。
情シス・社内SEが確認しておくべきこと
IE終了に対応できていない場合、早急に次のような対策を行うべきです。
・IEを使い続けているユーザーがいないか確認する
・IE依存のシステム構成を変更する
・IEモードの周知や代替ブラウザーの利用に関するルール策定などを行う
Windowsのアップデートなどを回避して、無理にIEを使い続けようとする方がいる場合もあります。ですから社内全体でIEを利用しているメンバーがまだいないかいったん把握してみるのがおすすめです。
また自社で開発して使っているシステムに関しても、IE依存からすぐに脱却する必要があります。もし今からシステム変更を行う場合は、塩漬けなどの対応も行いながらIE以外のブラウザーで問題なく使えるように仕様変更や検証などを行う必要があるでしょう。
さらにIEモードの利用に関する周知や、代替となるブラウザーの利用に関するルールなども決めておきましょう。現在はテレワークも含めて働き方が多様化しているため、社内でWebブラウザーなどの利用を一括管理できるツールの導入も検討しておくとよいでしょう。
まとめ
IEのデスクトップアプリを起動しようとしても、Edgeへリダイレクトされてしまうため使い続けることができなくなりました。
EdgeのIEモードを活用することで、これまでIEでしか動作しなかったようなアプリケーションも使い続けることはできそうです。しかしIEモードはあくまでもEdgeへの移行が完了するまでの救済措置であるということを理解しておきましょう。もし、移行されないようなレガシーアプリケーションであるならば社内利用ツールの選定を再考されたほうがいいでしょう。
情シス・社内SEとして考えれば、主流となるようなモダンブラウザーへの切り替えを促進し、ヘルプデスクなどの業務負荷を軽減できるチャンスでもあります。セキュリティ面でも課題が出やすいポイントでもありますので、ブラウザー移行に伴いセキュリティ対策も合わせて行いましょう。
脆弱性などを抱えた状況でサポートされていないブラウザーにしがみつくのではなく、時代の流れに沿ったツールを選択し、移行スピードを上げていきましょう。DXを進める上でも効率的でスピーディな対応は重要です。